
てっぺい

ミッキー17
平均 3.4
2025年03月28日に見ました。
【17映画】 生死を繰り返すオリジナリティ溢れる設定をとことん掘り下げる前半と、ポン・ジュノ監督らしさ爆発の鋭角に曲がる意外な展開の後半。その細部に込められた工夫を確認するには17回は見たい一本。 ◆トリビア 〇ロバート・パティンソンはミッキー18号を演じる際、気分が0から100まで急激に変わるところは日本のアニメから影響を受けたと名言。「アニメで、まったく動かない人が突然どこからともなく激怒するところがすごく好きで、それを真似しようとしたんだ。」(https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/news/news_250227_3.html) 〇ポン・ジュノ監督は、物語を脚本にどれだけ詳細に落とし込んでも、キャラクターに命を吹き込めるかは俳優次第だと語る。「ロバートが自身の創造性とアイデアで、キャラクターに細かいニュアンスを加えたことで、私が考えた2人のミッキーの設定を完全に超えて、新たなエネルギーをもたらしました」と、ロバートの演技を絶賛する。(https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/news/news_250227_2.html) 〇原作では7回のミッキーの過酷な任務を本作では17回に増加修正。監督「ミッキーがもっと死ぬところを見たいから。」(https://www.banger.jp/news/133388/2/) 〇マーク・ラファロ演じるマーシャルのキャラクターは、監督によるあてがきだという。マーク「脚本を読んだ時は怖かったです。これまでこんな役を演じたことがなかった。」(https://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/いままでで最もクレイジー-真の天才-ロバート-パティンソンら-ミッキー17-の豪華キャストがポン-ジュノ監督の魅力を語る/ar-AA1AqMUZ) 〇マーシャルについて監督は次のように語る。「現実の世界でも、多くの国で悪徳な政治家に国民が虐げられています。この人物にはその世情が凝縮されているのです。そしてだからこそ、滑稽に描きたいと思いました。」(https://www.cinematoday.jp/news/N0147579) 〇ナーシャを演じたナオミ・アッキーは、その役作りについて次のように語る。「彼女は常に自信を持っていて、私はそこを表現したかった。その自信は肉体的な強さから来るものだと思ったので、撮影前も撮影中も、アクションのトレーニングをたっぷりやりました。」(https://lp.p.pia.jp/article/news/413244/index.html) 〇ミッキーが2人いるシーンについてアッキーは「ロブ(・パティンソン)ともうひとりの俳優が必ず用意されていました。その人の顔を、後にロブに変えるんです。なので、私はいつもふたりを相手に演技をすることができました。」と明かす。(https://lp.p.pia.jp/article/news/413244/index.html) 〇ミッキーがナーシャと出会い、どん底から這い上がろうと奮闘する姿について監督は次のように語る。「ひどいことは常に起きている。それでも人間は、どんな現実に直面しても、どうにかして生き延びるすべを必ず見つける。ミッキーにとっては、ナーシャへの信頼が心の支えだった。どんなに厳しい現実でも、人は一日一日を乗り越えていく力を持っているものなんです。」(https://www.cinematoday.jp/news/N0147579) ○劇中で登場するクリーパーについて監督は「『風の谷のナウシカ』で王蟲が群れになって突進するシーンも、インスピレーションの源だったと言えます」と告白。「動物やクリーチャーを表現する際には、宮崎駿監督の作品は尽きないインスピレーションの源になっていると思います。」(https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/news/news_250317.html) ○足が何本もあるクリーパーが走る様子を表現する際に、CGチームは「となりのトトロ」のネコバスの動きを参考にしたという。(https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/news/news_250317.html) 〇現場のスタッフ達がみんな楽しそうに仕事をしていたことが、本作のテーマとも重なると語るアッキー。「どのチームに属している人も、自分には価値があると感じるようでなければいけないのです。今作にかかわった人に“またこの監督と仕事をしたいか?”と聞いたら、全員がイエスと言うはずですよ」(https://lp.p.pia.jp/article/news/413244/index.html) ○ ポン・ジュノ監督は、監督全作品で485回ノミネートされ467回受賞している。(https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/directer.html) ◆概要 【原作】 エドワード・アシュトン「ミッキー7」 【監督】 「パラサイト 半地下の家族」ポン・ジュノ 【出演】 「THE BATMAN-ザ・バットマン-」ロバート・パティンソン 「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」ナオミ・アッキー 「NOPE ノープ」スティーブン・ユァン 「ヘレディタリー 継承」トニ・コレット 「アベンジャーズ」シリーズ マーク・ラファロ 【公開】2025年3月28日 【上映時間】137分 ◆ストーリー 失敗だらけの人生を送ってきた男ミッキーは、何度でも生まれ変われる“夢の仕事”で一発逆転を狙おうと、契約書をよく読まずにサインしてしまう。しかしその内容は、身勝手な権力者たちの命令に従って危険な任務を遂行し、ひたすら死んでは生き返ることを繰り返す過酷なものだった。文字通りの使い捨てワーカーとして搾取され続ける日々を送るミッキーだったが、ある日手違いによりミッキーの前に彼自身のコピーが同時に現れたことから、彼は反撃に出る。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆17 氷にまみれたミッキーから始まる冒頭は、本作で16度(+1度)も死ぬ過酷すぎる労働を強いられるミッキーを描くに十分すぎるインパクト。この、何度も死んでは生き返るという設定がこの作品の唯一無二なオリジナリティで、前半はこれを楽しむために要素が凝縮されていく。ミッキー複製時のスタッフの不注意は、受台を忘れるまでになり、しまいには複製されても誰も気づかない。マーシャル夫妻の晩餐の招待も、全て実験目的。ミッキーの命より絨毯が優勢されるのも、本作の設定をとことん掘り下げる練られた展開。ナーシャが死んでいくミッキーに寄り添う描写は、どうかしたら死ぬミッキーに慣れてしまった我々の意識を逆にハッとさせる。マーク・ラファロとトニ・コレットの怪演も手伝って、悪役がいかにも悪役で、ミッキーの人としての存在価値が地に堕ちた地獄が見事に描かれていた。個人的には、2人のミッキーを目の当たりにしたナーシャが3Pを始めてしまう展開も、他の作品に描けない、本作ならでのポップなシーンだったと思う。 ◆クリーパー 形状はまるでナウシカの王蟲なクリーパー(実際ポン・ジュノ監督もナウシカを一部参考にしたと明かしている)。「オクジャ」('17)にはトトロのオマージュもあり、ジュノ監督のジブリ傾倒ぶりが伺える。本作では先住民という位置付けで、争いの火種でもあれば、温厚で集団意識も高いキャラクター。個々に名前もある事で、蟲を見る目線で見ていたミッキーも我々も、その自我にハッとさせられる。マーシャルがミッキーに対して向ける卑下の目線と、ミッキーや我々がクリーパーに対して向ける目線が共通だと暗喩するような存在としても描かれていたと思う。 ◆ラスト 18号が自爆しママ・クリーパーの怒りを鎮めるラスト。ナーシャの宣言のもと、ミッキーはプリント機を破壊する。思えば、17号は18号と出会い、“赤いボタン”を押した自分の過ちを“それはお前の過ちじゃない”と諭される。つまり別の自分と共に自分自身と向き合う事で、自然と自分を浄化していたミッキー。18号の自爆を目の当たりにして、きっとその勇気がもとの自分にも備わっているものだと確信したに違いない。死してなお自らの複製に挑むマーシャル夫妻には、どこまでも強欲で人間の倫理観のかけらもない。そんな夫妻を前に、18号ならどうしてたかな?とつぶやく17号は、もはや18号を宿した完全体。エンドロールに入る前のタイトルが17号でも18号でもなく、ミッキー・バーンズと彼のフルネームになったのはまさにそれ。“尊重されるべき人間の価値が底をついた時に人がどのように克服していくかを描きたかった”という監督の言葉の通り、本作で人としての価値を失ったミッキーが最終的にヒーローにすらなり得た姿には、どこか快感すら感じられた。 ◆関連作品 ○「パラサイト 半地下の家族」('19) ポン・ジュノ監督の代表作。第92回アカデミー作品賞受賞作品。プライムビデオ配信中。 ◆評価(2025年3月28日現在) Filmarks:★×3.8 Yahoo!検索:★×3.7 映画.com:★×3.6 引用元 https://eiga.com/movie/98957/ https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ミッキー17