ロンドン・ヒート

全く知りませんでしたが、元々はイギリスの大ヒットテレビドラマらしく、それを映画としてリメイクしたのが本作になるんだとか。設定としてはよく見かける『ワイルド7』もので、警察特殊部隊スウィーニーが悪党相手に好き放題しまくるという、非常に分かりやすい展開になっています。映画全編を彩るノワールの匂い立つ音楽や、どこか暗くジメッとした画面の色調など雰囲気はバッチリですし、本作の見所は何といってもカーチェイスアクションでしょう。 複数台のカメラを使い分けて主観と客観を交えながら激しい追跡劇を描いていくのですが、これが凄まじい迫力です。撮影したのはスタント番組のプロデューサーらしく、それも納得の出来でした。ところが一方でストーリーは予定調和で退屈な構図そのものですし、何より主人公に何の魅力もないのが最大の欠点になっています。 見た目が完全にデブで角刈りのいかついオッサンで、おおよそ主人公にふさわしくない出で立ち。それなのに何故かこいつが色気ムンムンの人妻と不倫関係にあるという、説得力のさっぱりないシーンがある上、チームのメンバーもこいつの何がよくて信頼してるのかまるでわかりません。ジャケットの二人ばかりが目立つストーリーではなく、もっとチームの一体感を感じられる筋書にしてほしかったですね。