殺したのは俺だ

The Man Who Cried Wolf
1937
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舞台俳優ローレンス・フォンテーヌは身に覚えのない殺人罪を当局へ自首しては警察をてこずらせて、自己の宣伝に利用するごとく見せかけていた。しかしこれは昔彼の妻子を奪って外国へ行った富豪ジョージ・ブラッドレーが最近帰国したことを知って、その復讐を遂行するために世をあざむく手段であることは誰も知らなかった。一座の女優ナンは欠員の青年俳優として富豪の青年トミイを連れてきたが、ローレンスは彼が自分の息子であることを知った。トミイが私の本当の父は舞台俳優だという言葉にも、自分の計画のため身分を明かさなかった。息子の芝居を見物に来たブラッドレーはローレンスが何者であるかを知り、危険を感じてトミイを伴って南米へ逃げようとする。しかし彼は息子になぜこの地を去らねばならぬのか理由を説明できなかった。そして言い争っている二人をローレンスは窓越しに見たが、その夜幕間をえらんでブラッドレーを射殺し何事もなかったごとく次の舞台に出演した。富豪ブラッドレー射殺さるの報が伝わると、ローレンスはすぐ警察へ自首した。警察では例のごとく気の触れた俳優だと認めて追い帰したので、彼の目的は見事に達成されたが、嫌疑者としてトミイが拘引された。しかも状況は彼に不利であって犯行に使った拳銃のみが手がかりであった。ローレンスは息子を救うために今度は本当の自首をした。そして警官を同行して犯行に使った拳銃を隠したトランクを開けてみると、すでに召使のジョッコがどこかへ持ち去った後であった。その上ジョッコは自動車事故で死んでしまったので、ついにトミイが真犯人として死刑を宣告され、ローレンスは精神異常者として監禁された。死刑執行が明日に迫った日、ローレンスは病院を脱走し、衝突したジョッコのタクシーのメーターが45セントを指していたのを知って、事故の現場から45セントの距離を調査してジョッコのアパートを探し隠された拳銃を発見した。かくして真犯人はローレンスであることが立証されてトミイは釈放されたが、息子の幸福のためにローレンスは父親であるとの告白を取り消して淋しく刑務所へひかれていった。

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