あばずれ(1966)

あばずれ(1966)
1966
87分
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鋳物工場の立並ぶ埼玉県川口市、荒川放水路脇の貧民街。そこのベッドハウスに住む松永ユキは罐詰工場に通いながら、酒びたりの父親民三とバクチに明け暮れる弟ケンジを養っていた。そんなユキを、隣人の焼芋屋のオヤジ遠見源造は暖い眼で見守り、彼が空中ブランコのスターとして華やかに過した若かりし頃の想い出話をユキに聞かせるのだった。こうしてユキは次第にサーカスを夢見るようになった。が、そんなある日、ユキは民三がベッドに住む後家と深い仲になって子供をはらませたことを知った。このことがあって以来、父民三に嫌気がさしたユキは、以前源造爺さんから聞いたノグチ・サーカス一座を訪ね、強引に団長野口辰五郎を口説きおとして、一座に仲間入りした。ところが、この一座の花形ブランコ乗り梅村哲次は、大変な好色漢で、仲間の猛獣使い山本文造の妻洋子と関係をもつ一方、ユキにも色眼を使いだした。が、こんな哲次の姿を面白く想わないのは、数年前父のブランコでの事故死によってブランコ乗りをやめていた矢代三郎だ。三郎は、ユキに密かな想いをよせていたのだ。やがて、三郎はユキのために再びブランコに乗る決心をした。ユキと共にブランコの練習に励む三郎の顔は、明るかった。そんな三郎にユキも次第に心魅かれ、二人の間にはいつしか恋が芽生えていった。ところがそれもつかの間、ある日ユキは哲次に無理矢理に犯されてしまった。ユキはやがて妊娠し、三郎は哲次を刺すと、そのまま姿をくらましてしまった。ユキも三郎を追って街をさまよい、ある日街のバーで、今は愚連隊に身をやつしている三郎に会った。その後二人は久しぶりの甘い陶酔に浸った。が、翌日三郎の今の兄貴分が、ユキに客をとらせろと迫った。三郎はこれに反抗し、乱闘の未、刺されて息絶えてしまった。今は夢も消えはて、しょんぼりとベッド・ハウスにもどって来たユキを暖かく迎えてくれたのは、あの源造爺一人であった。

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