リアル・ペイン~心の旅~
A Real Pain
2024 · コメディ/ドラマ · アメリカ
90分
(C)2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.



ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)とベンジー(キーラン・カルキン)は従兄弟同士。デヴィッドは安定したIT業界で働き、ブルックリンの自宅に妻と子供がいる。一方、ベンジーは情熱的でチャーミング、自由奔放で人を魅了するが、どこか危うさを持ち合わせていた。かつて兄弟同然に育ち、近年は疎遠になっていたふたりだったが、数年ぶりに再会。亡くなった最愛の祖母の遺言で、彼女の故郷ポーランドのツアー旅行に参加することに。ツアーガイドのジェームズ(ウィル・シャープ)、離婚したばかりのマーシャ(ジェニファー・グレイ)、仲睦まじいカップルのダイアン(ライザ・サドヴィ)とマーク(ダニエル・オレスケス)、ルワンダ内戦を生き延びたエロージュ(カート・エジアイアワン)らユニークなツアー参加者と交流するなか、正反対の性格であるデヴィッドとベンジーは、時に騒動を起こしながらも、40代を迎えた彼ら自身の“生きるシンドさ”に向き合う力を得てゆく……。
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たっちゃん-半変人のお調子者-
5.0
冒頭、ショパンの有名曲ノクターン9-2が流れる中、空港で所在無さげに座るベンジーが映る。 しかし、待ち合わせていたデヴィッドが現れるとさっきまでの様子が嘘のように明るくお喋りな振る舞いを見せる。 この時点でベンジーがデヴィッドの前では何かを取り繕おうとしているように見えてくる。 彼ら2人は今は亡き祖母の故郷であるポーランドを訪れ、ホロコーストにまつわる様々な場所を訪れるツアーに参加する。その中でベンジーはユダヤ人である事から来る当事者意識なのか、ドイツ軍と勇敢に戦った人々を讃える銅像があれば、共に戦うようなポーズで写真を撮ったり、事実や数字を並べて出来事を解説するガイドに対して、観光名所を回って事実や数字を並べ立てるだけではなく、地元の人と話したりして、もっとリアルな人の想いに触れるべきだと語る。 これはベンジーは自分自身についても同じ事を考えているのではないかと思った。 ガイドがホロコーストについて、事実や数字に基づいて解説していたように、ベンジーの不安定な精神状態についても、医者や周りの人は事実や数字に基づいて対応するだけで、誰も自分の本当の痛みを理解しようとしてくれない。その怒りと不安があのガイドに向けての言葉として出てしまったのではないだろうか。もっと自分を見てくれ。もっと痛みに向き合ってくれ。そういう叫びに思えた。 しかし、そう単純に自分の事を人に言えない不器用な所もあって、だから余計に危なっかしい。 デヴィッドは過去にベンジーが睡眠薬を大量に摂取した事から、彼の事を案じている言動が見られる。 でも、ベンジーは彼の前では決定的に弱い所を見せようとはしない(ある一点を除いて)。彼の前では人を時々不愉快にはすれど基本明るく振る舞い、他のツアー客とも交流し、デヴィッドと共にマリファナを決め、楽しく過ごしているように見える。 でも、観ているこっちは冒頭のベンジーの様子を知ってるから、この様子がそう振る舞おうとしているように見えてくる。 対して、デヴィッドは一歩引いた目線で物事を見る。ベンジーが銅像と共に戦うポーズで写真を撮り、他のツアー客も全員同じように撮っていても、彼は撮影に徹し自分は同じように写真は撮らないし、ベンジーが色々言い出して空気が悪くなるのを止めようとする。 そんな彼はその一歩引くというスタンスがベンジーの過去の悲劇を招いてしまったのではないかと思い、旅行中デヴィッドに寄り添おうとし、最後には家に誘おうとする。しかしベンジーはその誘いを断って、空港に1人残る事を選ぶ。そしてまた所在なさげに空港の椅子に座る。 この、オープニングと円環構造のようになっている終わり方が非常に上手い。でも最初と違うのはベンジーの顔に日が当たっている事。最後の最後、ベンジーがその方向を観て映画が終わる。この旅行を経て、彼の心の痛みが少しは和らいだのだろうか…そんな事を考えるラストだった。 動画内で本作について語っております。 是非聴いてください。 ↓↓↓ https://www.youtube.com/live/ecnzEVuGcAA?si=HgsljgjUv0af4_qw 映画評価基準 この映画が好きか 9 没入感 9 脚本 10 演出 10 映像 10 キャスト 10 音楽 10 余韻 10 おすすめ度 9 記憶に残る映画だったか 9 計96点
てっぺい
4.0
【リアル映画】 本作でゴールデングローブ賞を2年連続受賞した俳優の演技が実にリアルで見事。ダブルミーニングのタイトルで、見終わるとなんとも言えない温かさで心が包まれる。 ◆トリビア ○ベンジーを演じたキーラン・カルキンは「ホーム・アローン」マコーレ・カルキンの弟。本作でゴールデングローブ賞助演男優賞、「メディア王 〜華麗なる一族〜」('23)では同主演男優賞を受賞しており、2年連続の受賞となった。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/キーラン・カルキン) 〇キーランはベンジーというキャラクターについて「とてもカリスマ性があり、愛すべき存在だけど、同時に嫌われる存在でもある。僕の人生にもこういう人がいたんだ。」と分析して演技に臨んだという。(https://www.searchlightpictures.jp/news/20241213_01) 〇ひとり歩くマーシャに、ベンジーが話しかけるシーン。彼女を笑わせるため、テイクごとにアドリブで違う事を言ったというキーランは「前もって考えているわけではないし、面白おかしくするためでも、壮大なアイデアを披露するためでもない」と説明。役柄のまま自然に出てきた会話を楽しんでいたそう。(https://screenonline.jp/_ct/17745399) 〇ジェシー・アイゼンバーグは本作で監督、脚本、製作、出演という一人4役をこなす多彩な才能を発揮。第82回ゴールデングローブ賞の作品賞(ミュージカル/コメディ部門)、脚本賞、主演男優賞(ミュージカル/コメディ部門)でノミネートを果たす快挙を成し遂げた。(http://searchlightpictures.jp/news/20241216_01) 〇ジェシーは、自身もポーランドにルーツを持つ。「戦争がなかったら、私はここで暮らしていただろう。私の人生はどうなっていただろう?私は何者なのだろう?」との疑問から、ポーランドの歴史を巡る旅というテーマを発想し、実際にポーランドを訪れた旅行が本作製作のきっかけになったという。(https://www.searchlightpictures.jp/news/20241216_01) ○ ジェシーは、ポーランドの市民権獲得の意向を示していたことも話題になっており、本作で描かれるデヴィッドとベンジーの旅路は、ジェシー自身の物語を自らが紐解いたとも言える。(https://s.cinemacafe.net/article/2024/09/25/93783.html) ○ツアーガイドのジェームズを演じたウィル・シャープは、日系イギリス人。日本のヤクザを描いたNetflixドラマ『Giri/Haji』('20)にも出演し、監督や脚本も手がけるマルチな俳優。(https://sweetweb.jp/archives/115927/) 〇ウィル・シャープは、演じた研究者役について、十分な知識がなく即興もできず、かなりな挑戦だったと明かす。「ただ、ロケをしたポーランドで勉強をしながら撮影していくことで、脚本以上の化学反応が生まれたと思います。」(https://news.goo.ne.jp/article/sweetweb/trend/sweetweb-115927.html) 〇ツアーのラスト、ジェームズがデヴィッドとベンジーに別れを告げるシーンでは、演じるウィルが2人に対して発した対照的なセリフはアドリブ。ジェシーは「この映画の中で最も面白いセリフのひとつで、最大の笑いを誘うよ」と断言する。(https://screenonline.jp/_ct/17745399) 〇デヴィッドの息子エイブを演じたのは、ジェシーの実の7歳の息子であるバナー。(https://madamefigaro.jp/series/music-sketch/250127-musicsketch.html) ○ 本作に登場するルワンダ内戦を生き延びたエロージュ(カート・エジアイアワン)は、同じくエロージュという名前のジェシーの友人がモデル。(https://fansvoice.jp/2024/10/16/a-real-pain-trailer/) ○ 本作にはジェシーの自伝的な部分がたくさんあり、祖母ドリーは、106歳で亡くなったジェシーの大叔母のドリスがモデルだという。「彼女は僕の人生で最も大切な人で、とても厳しい人でしたが、僕が俳優になって、自分の道を見失った時、彼女は僕を支えてくれました。」(https://www.cinematoday.jp/news/N0147210) ○ 「A Real Pain(困ったやつ)」は自分を困らせる人に対して使う表現。デヴィッドにおけるベンジーをさすが、本質的にはホロコーストのような壮絶な痛みを経験した祖先に対して「現代のデヴィッドが感じる不安、ベンジーの心の問題は、祖先たちのトラウマや悲しみと比べてもいいのだろうか?私たちの痛みは議論できるものなのか? ということを考えました。」(https://screenonline.jp/_ct/17744817) ○ デヴィッドと同じようにOCD(強迫性障害)を持つジェシー。今作で問いかけようとしたのは、「メンタルヘルスに苦しむ僕の個人的な痛みは、客観的に見てもっと恐ろしい先祖の痛みと比べてどうなのか?僕の痛みは語るに値するものなのか?」ということだったという。(https://www.cinematoday.jp/news/N0147210) ○ 本作には「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンがプロデューサーとして参加。ストーンが夫と設立した製作会社「フルーツ・ツリー」が本作を全面的にバックアップ。同社製作による初の映画がジェシーの監督デビュー作『僕らの世界が交わるまで』でもある。(https://www.searchlightpictures.jp/news/20250110_01) ○ エマとジェシーは『ゾンビランド』シリーズで共演、互いに信頼を寄せる友人でもある間柄で、本作に引き続き、ジェシーが監督する3作目でもタッグを組むことが決まっている。(https://www.searchlightpictures.jp/news/20250110_01) 〇ジェシーは当初、ベンジー役に興味があったが、エマの進言でデヴィット役を務めることになったという。ゴールデングローブ賞の主演男優賞ノミネートの事実に、「彼女の考えは正解だった。」とストーンのプロデューサーとしてのアドバイスに舌を巻く。(https://www.searchlightpictures.jp/news/20241216_01) 〇ジェシーは脚本時に行き詰まった際、「偶然オンライン広告を見たんだ。昼食付きの“ホロコーストツアー”さ」と、本作の着想を得たのがウェブ広告であることを告白する。そんなきっかけから、演じたデヴィッドはデジタル広告が仕事という設定になっている。(https://www.crank-in.net/news/160362/1) 〇本作ではショパンの楽曲が多用されているが、舞台となるポーランドはショパンの故郷であり、ショパンは愛国心を常に掲げていた人物。(https://madamefigaro.jp/series/music-sketch/250127-musicsketch.html) ◆概要 第97回アカデミー賞脚本賞・助演男優賞ノミネート作品。 【脚本・監督】 「僕らの世界が交わるまで」ジェシー・アイゼンバーグ 【出演】 「グランド・イリュージョン」シリーズ ジェシー・アイゼンバーグ 「メディア王 華麗なる一族」キーラン・カルキン(第82回ゴールデングローブ賞助演男優賞受賞) 「Giri/Haji」ウィル・シャープ(日系イギリス人で、『Giri/Haji』は日本のヤクザを描いた異色作) 「フェリスはある朝突然に」ジェニファー・グレイ 【公開】2025年1月31日 【上映時間】90分 ◆ストーリー ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッドと、兄弟のように育った従兄弟ベンジー。現在は疎遠になっている2人は、亡くなった最愛の祖母の遺言によって数年ぶりに再会し、ポーランドのツアー旅行に参加することに。正反対な性格のデヴィッドとベンジーは時に騒動を起こしながらも、同じツアーに参加した個性的な人たちとの交流や、家族のルーツであるポーランドの地を巡るなかで、40代を迎えた自身の生きづらさに向きあう力を見いだしていく。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆リアル・ペイン 空港の雑踏から、ベンジーの表情にズームし、タイトルが乗る冒頭。「リアル・ペイン」(困ったやつ)がまさにこの男だと示す分かりやすい演出で、それが示す通り、本作は終始この男の予想外な行動でかき乱されていく。変態の観察に数時間前から到着し、ぬるくなったヨーグルトを渡すしょっぱなから、デヴィッドのスナックを自然に取り上げ笑、大麻を持ち込み、一号車への違和感爆発、居眠り放置、墓地でのガイド批判、ディナーでブチギレからのピアノと、その奇行は数え出したらキリがない。がしかし、デヴィッドが羨む通り、最終的にはその人間味に誰もが惹かれ、ガイドに至っては感化されたベンジーへの熱い言葉と一言で終わるデヴィッドへの別れの温度差が超印象的(アドリブらしい)。見ているこちらも、彼の予想外な行動に終始目が離せないし、収容所を後にして泣きじゃくるその人間性に虜になるかのよう。彼が蹴破った屋上扉のように、人の心の扉をどんどんこじ開けるその姿がとても魅力的だった。 ◆ダブルミーニング 脅迫性障害を抱えるデヴィッド、そしてベンジーの心の問題を、祖先たちの悲しみと比べて語るに値するのかと考えたというジェシー監督。一号車への違和感を爆発させたベンジーが、リアルペインを言葉にする場面があったが、まさに祖先たちが経験した悲劇は“本当の痛み”。人への心の障害があるデヴィッドと(演じたジェシー自身も脅迫性障害を抱えているという)、自殺を図った過去を持つベンジーは、祖先の悲劇を目の当たりにする事で、カタルシスとまでは言わないが、自分たちの悩みが少しちっぽけなものに思えたのかもしれない。リアルペインとは、前項のベンジーそのものの困ったやつという意味と、本項のそれとのダブルミーニング。本作は、歴史の悲劇と照らし合わせて、デヴィッドとベンジーの姿を映し出すことで、現代人が抱える生きづらさへのヒントを提示しているようにも思えた。 ◆ラスト たどり着いた祖母の棲家。印に石を置く事を思いついたデヴィッドは、お隣さんから注意を受ける。思えばその後の空港でベンジーに張ったビンタも、石を置く発想も、旅を通じてデヴィッドがベンジーから譲り受けた発想。どちらもコメディタッチで失敗に終わったが、それはそもそもデヴィッドが羨む彼に近づきたい気持ちの現れだと、見ていて思った。二人は、結局このドタバタ旅を通じて心を通わせ、お互いの心がひとつ軽くなったように思える。ラストカットが冒頭と同じくベンジーの表情で終わる(かつタイトルが再度乗る)のは、本作がやはりこの男の物語である事の裏付けでもあり、その表情の変化も印象的。冒頭と違い、少しだけ笑顔のベンジーに陽の光が当たる演出は、やはり彼自身もこの旅を通じて心の闇を一つ払拭した証拠。そのあたりをちょっとした演出に抑えるところや、ともすれば重くなりがちな本作のテーマをコメディタッチで柔らかく表現する、そんな軽やかさがとても素晴らしいと思った。 ◆関連作品 ○「僕らの世界が交わるまで」('22) ジェシー・アイゼンバーグの監督デビュー作。母子の人間ドラマ。プライムビデオレンタル可。 ○「グランド・イリュージョン」シリーズ ジェシー・アイゼンバーグ主演作品。大どんでん返しとイリュージョンが見もの。プライムビデオレンタル可。 ◆評価(2025年1月31日現在) Filmarks:★×4.0 Yahoo!検索:★×4.8 映画.com:★×3.9 引用元 https://eiga.com/movie/102304/
よりこ
4.0
ベンジーみたいな奴いるわ〜となる人は多いだろうけど、自分ベンジーだわってなる人はほぼいないんじゃないか? ベンジーって矢印がずっと外向きで、自分の中でグルグルするみたいなのがない。ビンタでもしないと向きがかわらないのよね。 ピュアな原色の矢印が飛んでくるから、こっちは痛いけど、刺激にもなるし、魅力的。 「あ〜良い出会いをした!」ってみんなの糧にされてたら、そこにある痛みのもとが置きざりになってしまうようで、つらいな。 それで、あ〜面白い映画みたわ!って生活の潤いに消費されて、ベンジーのほんとうの痛みは、スクリーンの中にねむってる。
ユウ
3.5
アカデミー賞、脚本賞にノミネートされていたので鑑賞。 デヴィッドとベンジーの二人の関係性が良かった。ベンジーみたいなイライラさせられるが、何か魅力的な人のことを羨ましく思う。 キーラン・カルキンのアカデミー賞、助演男優賞ノミネートも納得。 じんわり余韻が残る、味わい深い作品。
wishgiver
4.5
自身ユダヤ人であるジェシーの半自伝的作品、すごく良かった。 テーマも構成も素晴らしいし、ジェシーらしいコミカルさとシリアスさのバランスも良く考えられてるし、何よりキーラン・カルキンがとてもいい。 あのマコーレ・カルキンの弟さんですが要注目。 ポーランド出身のショパンの劇伴とジェシーのいつものキャラにとても癒されたし、映画館で観てたら5.0点だったかも。 2025.5.26@Disney+
とこやみ
3.5
他人には決して分からない「痛み」 ただ、そこに寄り添うことはできる ショパンの旋律のように繊細で優しさ溢れるロードムービー
ちびユウ
3.0
ネタバレがあります!!
cocoa
4.0
終映間近と思われる「リアル・ペイン」を観てきました。 ジェシー・アイゼンバーグが監督、脚本を手掛ける注目の2作目。 彼が大切にこだわるアイデンティティーを感じる好きな作品でした。 原題の「A Real Pain」は「本当の痛み」の意味ですが、「困ったヤツ」とか「迷惑なヤツ」の意味もある。 NYで暮らすデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)はユダヤ系のアメリカ人。 彼の従兄弟ベンジー(キーラン・カルキン)と久しぶりの再会。 二人は亡くなった祖母の生まれ育ったポーランドの地を訪れるツアーに参加する。 性格の違う二人が共にぶつかりながら過ごす…そんなロードムービーです。 空港で待ち合わせをしているデヴィッドは何度もベンジーに電話をするが返事はない。 いつものようにせっかちに心配する様子がジェシー・アイゼンバーグそのままの雰囲気。 デヴィッドは強迫神経症だがクスリを飲みながら家庭を持ちWeb広告の仕事をしている。 一方のベンジーは無職で自由奔放。 もちろん何かを抱えて生きている感じだが、詳細はわからず。 半年前に睡眠薬の過剰摂取で自殺未遂を起こしている。 常識的で周りに気を使いながら生きているデヴィッドと、何でも感じたままに行動し、騒動を起こしがちのベンジー。 確かにこんな「困ったヤツ」っているな~と観ていたが、ツアーの仲間からベンジーは好かれていく。 ワルシャワ隆起の記念碑の前でポーズをとるベンジーをいさめる常識的なデヴィッド。 不謹慎だと思ったのに他のツアー客も巻き込まれて、撮影係にされるデヴィッドの困り顔。 何度も同じように周りを振り回すベンジーだが人から好かれる魅力もあるのが何とも言えない。 私はデヴィッド寄りの自分だが、ベンジーのような人間を嫌いながら羨ましく思う気持ちがとてもよくわかる。 ルブリンの旧ユダヤ人墓地を訪れた時、ツアーガイドに対して観光目的の数字の羅列に過ぎないガイドに注文をつけるベンジー。 一瞬、ツアーガイドの心象を損ねると思ったが素直に認めるガイドの人間性も良かった。 その後祖母の元生家の玄関先に小石を置いた時、「年寄りがけがをしてしまう…」と向かいの住人に非難されるシーン。 元生家だとしても今暮らしている人がいるという現実、確かにそうだなと思った。 この石を持ち帰ったデヴィッドはNYの家の玄関先にそっと置いたが、ベンジーはこの先どう生きていくのだろうか。 映画の冒頭と終わりのシーン、どちらも空港の雑踏の中で椅子に座るベンジーの姿を映しているが、明らかに変わったとまでは思えなかった。 家族が待っている家に帰るデヴィッドと違ってそのまま空港に残るベンジーが対比となっている。 ベンジーの本当の痛みや生き難さはたとえデヴィッドでも心から理解はできないように思えてしまった。 ベンジーにとって二人のツアー参加は良い時間だったと思うのだけど、鬱傾向の…(時に双極っぽい)ベンジーの痛みは本人しかわからないような気がする。 たとえ「迷惑なヤツ」と思われてしまっても。 キーラン・カルキンの演技は素晴らしかった。 ジェシー・アイゼンバーグの脚本の力も感じられた。 そしてポスターのイラスト…デヴィッドがとてつもない大きなリュックを背負っていて、その上にベンジーが座っている、その絵を見るだけで関係性が伝わってくるイラストがとても秀逸だった。 と言うことで、ジェシー・アイゼンバーグの今後にも期待のできる作品でした。
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