制服の胸のここには

制服の胸のここには
1972
83分
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竹中京太は名門高として名高い縁蔭高校の二年生。父は開業医で、母はない。クラスは受験勉強に青春を賭ける秀才の高川、いつも三枚目の役割を果している花守、札つきの不良青木など多士才々だが彼は誰とでもつき合っている。しかし、ヘルマン・ヘッセを愛読し、多感な胸のうちを理解し合っているのは他クラスの森口芙佐子しかいなかった。毎朝、京太と芙佐子は同じバスで通学し、放課後川の堤を二人の将来などについて語りながら肩を並べて散策したりした。京太は芙佐子の写真を定期入の中に秘めていたし、芙佐子も京太の写真を大切に机にしまっていた。その二人の間を引き裂き、芙佐子の純粋なプライドを著しく傷つけるような事件が持ち上った。不良学生青木に友達仁義のため試験の答案をみせたことから友情が芽生え、京太は夜の街に案内された。あるスナックの中、卑わいな男女の群がっている一隅で彼は、とかくの噂のある白梅高校の若宮由紀子に紹介された。高校生とはいえ由紀子と京太は明らかに異なった社会に住んでいた。初めて酒を飲んだり、由紀子に呼びだされキスを交したりして京太は急速に変っていった。そして二人が抱き合う姿を芙佐子に目撃された。芙佐子が京太との絶交を胸に誓ったのはその時だった。しかし京太の急変する姿に理性では軽蔑しながらも、意識の裏側では惹かれていった。絶交を言い渡された京太は、芙佐子の目の前で衝動的に不良グループに飛び込んでいった。若い二人の行動は一寸とした誤解がもとで更に大きく離れていくようにみえた。前々から、芙佐子に好意を抱いていたワンダーホーゲル部の気障な連中が、彼女を誘って一緒に山歩きをしようという。京太の目から見ると、芙佐子はあてどもなく遠くへ去っていくように見えた。冬休みがきた。しかし、出発の朝芙佐子の姿は集合場所には見当らなかった。みずみずしい青春の愛の息吹が、京太と芙佐子を再び結び合わせたのだ。

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