レビュー
レビュー
    star4.0
    そういうことか……そういうことか……!!! 時系列がよくわからなくて「???」となっていたけど理解した瞬間ルイーズの夫の言葉の深さを知る 「飛行機が落ちるのは全能の神がいないから」 それこそが「神のゆらぎ」神とは誰? ドラン演じるエティエンヌと彼女サイドの話は、なんの信仰も持ってない自分からしたら理解するのが難しかった 私がドランの彼女の立場だったら早く輸血して、あなたの居場所は私の隣でいいでしょって泣いて縋りたくなる でも、きっとそういう簡単な事じゃないんだろうね お互いを愛している、本当にそれは嘘偽りなく だってだからこそ、彼女の輸血の話を聞いた時に抱きしめて泣いたんだ 信仰のことはわからない だけど、引き裂かれるほどの苦しみを感じながらも捨てられないものなんだっていうことは、ドランのあの泣き顔で痛いほど伝わってきた 本当に彼らが信じる神がいるのだとしたら、なんて趣味の悪い遊びをしているんだろう 神の心で人は散る 飛行機事故で死んだ彼らの居場所はどこ? エティエンヌの居場所と救済は? 神は人間なんか救ってくれない 信じ続けた彼すら救いなんてしない 神とは?大きな存在がゆらぐ
    20
    深い物語だった。それぞれに人生があり、ストーリーがある。 エホバの証人の信者であるジュリー(マリリン・キャストンゲ)とその彼氏エティエンヌ(グザヴィエ・ドラン)。老年でありながら不倫の恋に浸るバーテンの男性とクロークの女性。薬の運び屋の男性。アル中の妻とギャンブル狂いの夫。そして運命の飛行機事故へ。 白血病に侵されたエティエンヌは、教義により輸血ができず手術することができない。神の救いをただ待つ。信仰のために死ぬ。エティエンヌの彼女は医療従事者であり、輸血を勧める立場にあるのにそれができない。この苦悩。彼女もまたエホバの証人の信者であり、彼の苦しみを理解できた。 エホバの証人。詳しくは知らない。昔ドラマか映画で北野武が信者を演じたものを観て強烈にその表情を覚えている。 信仰。日本人には理解しがたい心情ではなかろうか。私自身も命に代えても守るべき信仰なんかない。今まさにスコセッシの「沈黙」が公開中だが、その気持ちを理解することは今の私には到底できない。 ストーリーは過去と未来を行き来しながら、吸い込まれるように終結していく。そしてルイーズの夫の言葉が強烈にジュリーの心を捉える。 観ているうちに信仰の気持ちのほんの一部を理解したような気がした。信仰なくして生きる意味なし。信仰を持たない私からみたら、そんなことのために死ぬのか、と馬鹿げたことに思うが、エティエンヌやその家族の様子を見ているうちに、急に弾けるように何かがわかった気がした。 この作品は、相当よくできている。グザヴィエの才能がわかりやすく表現されている。とにかく、登場人物の心情がどれもグサグサ入ってきて、どのストーリーも胸に刺さる。それでもエティエンヌとジュリーのストーリーはこの作品の大半を支配している。 神とは。
    10
    信仰と現実の矛盾を主軸に、神はいるのか、神が運命を決めるのかと問う群像劇。クライマックスに向けてひとつにまとまっていくドラマと登場人物たちの感情のゆらぎ。硬軟が両立されていて魅力的な空気だった。観客への情報量もちょうど良く、サスペンスとしても面白い。飛行機事故のフラッシュフォワードと、登場人物たちの運命を見渡す作りで、神の視点的なひっかかりも持てる。 登場人物のひとりが「捨て身だ」と言っていたとおり、彼ら彼女らはみんな捨て身で何らかを信じ、あるいは何らかに捕らわれ、自分の平穏や命を投げ出そうとしている。それを愚行だとは言えるけど、同時に彼らが背いた倫理や道徳観、正義、科学的根拠も、大勢に信じらながらときに揺れ、利害のために都合よく扱われ、新しい事実にくつがえされることもある。 神がいないならそれは残酷なのか希望なのか。運命なんてそもそもあるのか。疑いながら観ていても、ただの雨が、天から降りそそがれる意味ありげなものに感じられてしまう。演出と、ちょっとエキゾチックな音楽も良かった。 @DVD
    00