現代のヴェトナムのホーチミン市。シクロと呼ばれる輪タクの運転手として働く青年(レ・ヴァン・ロック)は、裏町で祖父や姉妹と暮らしている(以後、彼を〈シクロ〉と呼ぶ。)彼は〈女親方〉(グエン・ヌ・キン)からシクロを高額で借りており、あがりの何割かを収めなければならないうえ、縄張りを巡ってヤクザに絡まれることも多い。ある日、彼は商売道具のシクロをヤクザたちに盗まれる。被害を届けた〈シクロ〉は、〈女親方〉の愛人らしい暗い陰のある若いヤクザ〈詩人〉(トニー・レオン)とその一味によって、荒れ果てたビルの一室に匿われる。〈詩人〉は〈シクロ〉の〈姉〉(トラン・ヌー・イェン・ケー)に、客をとって変態行為の相手をさせて稼いでいたが、〈姉〉は〈詩人〉を愛していた。やがて、〈シクロ〉は〈詩人〉一味と行動を共にするうちに、犯罪行為の深みにはまりこんでいく。自分のシクロを盗んだヤクザを見つけ、釘の出た板切れで殴り倒して溜飲を下げたりもした。そんな時、〈姉〉が客に乱暴され、怒った〈詩人〉は客を刺し殺してしまった。これがきっかけとなったかのように、人々に次々と悲劇が訪れる。〈シクロ〉は酒とドラッグに身をまかせ、全身に青いペンキを塗り、顔にビニール袋を被ってわが身を包んだ挙げ句、ピストルで傷つく。〈詩人〉は虚無と絶望の果てに、部屋に火を放って焼死した。さらに〈女親方〉の知的障害の息子が車にはねられて死亡し、〈女親方〉はその亡骸を抱いて泣きわめく……。元の商売に戻った〈シクロ〉が、祖父と姉妹をシクロに乗せて走る市街は、何事もなかったかのようにざわめいている。見渡せば、豪華な高層ホテルとスラム街が雑居する混沌とした街並みが、彼らを取り巻いていた。
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