大江戸風雲絵巻 天の眼

大江戸風雲絵巻 天の眼
1957
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将軍家治の時代。世にいう天明の大飢饉に加えて時の老中田沼意次、意知父子の悪政は、庶民に塗炭の苦しみを与えた。折しも富豪や権力者を狙い、奪った金銭を庶民にばらまく業平小僧なる怪盗が出没した。ある夜、材木商五藤屋へ入った業平小僧は田沼に贈賄する御神馬を奪うが、逃げる途中、旅装の旗本佐野善左衛門にぶつかる。善左衛門は、はっと構えるが業平小僧も隙なく対し、事なく別れる。その善左衛門は翌日千代田城に田沼意知を訪ね、かつて意知が権力で奪った、上州の自分の神社の宝物--御神馬などを返してくれと頼む。しかし、善左衛門の妻雪江に横恋慕し、ふられた恨みのある意知は勿ろん拒む。一方、業平小僧の本名は伊之といい表向きは、妹お美津とべっ甲屋を営んでいた。彼が盗賊になったのは、相愛の津藤屋の娘おしのが色好みの意次に強引に奪われたからであった。田沼の暴政は目に余るものがあり、老中溜の間詰の松平定信も、その打倒を願っていた。定信の叔父で将軍吉宗の孫、玄斎は、ある夜、意知の刺客団に追われる善左衛門を救い、かつて自分の屋敷に乗込んだが、気っぷのよさに放してやった業平小僧に会い彼のべっ甲屋にかくまってもらった。やがて田沼の暴政を怒る町人が一斉に暴動を起した。業平小僧も田沼の邸へ例の御神馬を善左衛門の頼みで取返しに行く。おしのとも一目会うが捕手に追われ、危機を、かねて彼に好意を寄せるスリのお千代に助けられる。二度目の襲撃で業平小僧は遂におしのを連れ出すが、べっ甲屋に戻った二人を見て、お千代は自分の恋を諦めた。一方、田沼は業平小僧捕縛を厳命する。群る補手の中を業平小僧は、おしのを玄斎に預けて逃げる。しかし彼に心底から惚れるお千代の健気な犠牲で独り逃れた業平小僧は、田沼に取入る豪商連を次々と倒した。一方、千代田城内では、田沼の没落を暗示するかのように折から起った日蝕のかげりの中で善左衛門が意知に刃傷、これを倒した。松平定信によって田沼の悪政が追及され、やがて大江戸に再び明るい日が戻った。元の伊之に返った業平小僧も、お千代の墓前に、べっ甲屋としての再出発を誓った。

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