香港の白い薔薇

香港の白い薔薇
1965
109分
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ある夜ジャズフェスティバルの会場で、麻薬捜査官松本は、林玉麗に出会った。日本のある商事会社の麻薬密輸を捜索している松本は、警察官の勘で玉麗をあやしんだが、その美しさに魅かれている自分を知った。麻薬密輸で逮捕された高島物産の社長は、禁断症状でショック死していた。日本むけ麻薬ルート開発の犠牲者であった。日本商社と取引きする香港側から捜査すべきだと主張した松本は、田部警部補と香港へ飛んだ。香港で旧友宇津木と再会した松本は、玉麗が大財閥の令嬢で、宇津木と玉麗の父は、何か不思議な因縁で結ばれているらしい様子だった。数日後、松本は、密告によって潜伏していた商社の社長を逮捕した。日本に帰った松本は、凱旋将軍のように迎えられながら、表情は固かった。逮捕出来たのは、ほんの氷山の一角にすぎない、いわば敵から投げられた餌にすぎないのだ。再び玉麗が日本に来た。松本の六感が働いた。宇津木があやしい--松本は徹底的に宇津木の取引先を調べた。あんのじょう、ドラム罐の油の中に999と刻印された固形物が発見された。玉麗を問いつめた松本は、意外な告白に愕然とした。宇津木は玉麗の母違いの兄だった。戦争のために玉麗の父と別れた母は、宇津木を私生児として育てた。今宇津木は玉麗の父、そして自分の父に復讐しているのだった。松本は宇津木を救うには、逮捕以外にないと決断した。一度警察からマークされた者は、組織から抹殺される。松本は玉麗と香港に飛んだ。だが宇津木はすでに死体となっていた。松本と玉麗の間は、これ以上近づくことは出来ない。宇津木の死体が二人の間に横たわって離れないからだ。“もう二度と香港には来ないでしょう”松本の苦悩に満ちた横顔を瞶める玉麗の眼が涙で光った。“私も東京へは行きません”二人の悲しみをよそに、海が美しく輝いた。

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