レビュー
レビュー
    Till
    star2.5
    第65回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門でグランプリを受賞したドラマ映画。妻を亡くして失意の底にいるロベルトと娘のアレハンドラは、見知らぬ土地で再スタートを切ろうとする。アレハンドラは転校先の学校で友達もでき、徐々に明るさを取り戻していくが、ある日、クラスメイトとの性行為の動画がインターネットで流出したのをきっかけに、壮絶ないじめが始まってしまう…。 全編を通して定点カメラで撮影されているため、実際に現実で起こっているかのようなリアル感があるし、題材にしている内容もSNSが日常的に利用されている現代ではもちろんあり得ることである。そんな現実感のある雰囲気であるがゆえに、いじめの内容が強烈すぎたり、発展の仕方が急すぎたりなどの演出が逆に嘘臭く感じてしまう。ホセに好意を抱いていたカミラが嫉妬からいじめに発展するのはまだ理解できるが、それまで仲の良かった男子や特に関係もないクラスメイトたちが、揃いも揃って態度を急変させ、犯罪と言っていいほどの過激ないじめをするのはさすがにやり過ぎだと思う。メキシコとの文化の違いがあるかもわからないし、実際にそこまでのいじめがあるわけないとも言い切れないので、一概には否定しがたいのだが、個人的には少し違和感を覚えてしまった。ただ、セリフも少なく、BGMもないにも関わらず、一つの作品として成り立ってるのは凄いと思うし、監督が才能のある方なんだということは伝わってきた。 目を背けたくなるような胸糞シーンの連続で、苦手な人はホントに見れないと思うので、あまりオススメはできない。
    30
    本作の監督・脚本・制作を担当したマイケル・フランコ監督はこの映画を含めてまだ三作しか撮っていないにも関わらず、カンヌ国際映画祭では軒並み絶賛され、本作もまた「ある視点」部門でグランプリを授賞。知名度はまだまだですが、いずれ世に出ることは間違いないでしょう。 この映画はまさに「ある視点」の言葉にふさわしく、クラス一の人気者とセックスした動画がネットに流出したことから恐ろしいイジメに会う娘の様子を、ただただ定点カメラで写し続けるのです。台詞も少なく音楽もないのですが、監督の見事に間を読んだ演出によって、その一連の出来事がまるで自分達の日常にも潜んでいるかのように、実にリアルに感じられます。 劇中ではイジメのことを全く話さない娘と、それに全く気づかない父のディスコミュニケーションが問題として浮かび上がります。何故そんな風になってしまったのか?について明確な答えは提示されませんが、監督の優れた手際のおかげでなんとなく事情は察することができます。 ただ私はイジメ描写にせよ親子間の意思疏通の無さにせよ、あまりにエスカレートし過ぎていて逆に違和感を感じることがチラホラありました。この辺りのバランス感覚は非常に難しいところですけれど、ラストシーンの衝撃を含め一見に値する一作であることは間違いないと思います。
    30
    ここまで大袈裟じゃなかったらリアルでありそうなすれ違いの話。 ◆ストーリー シェフのロベルトと娘のアレハンドラはメキシコシティへと引越してきた。ロベルトは妻、アレハンドラは母を亡くした悲しみがまだ癒えておらず、お互いを思い遣るがどこか気を遣いすぎてぎこちない関係だった。 ある日アレハンドラは転校先で出来た男友達ホセと関係を持つが、行為の動画が拡散されてしまい、イジメられるようになる。 ◆感想 スッキリする終わり方だと思ったけど、登場人物を整理すると後味かなり悪かった。 ロベルト:アレハンドラの父。シェフをしており引越し先で新たな店で働き始めるが、お喋りが多い従業員に苛ついて突然仕事を辞めようとしたり、荒い運転で割り込まれた時にブチ切れて怒鳴りに出たりかなり短気。 アレハンドラ:気が滅入っている父を気遣う優しい子。壮絶なイジメを受けるけど、折れずに我慢したり結構芯も強い。 ホセ:アレハンドラと関係を持ったクラスの人気者。イジメに対しては傍観者で、孤独に過ごすアレハンドラに話し掛けたりどちらかというと気に掛けている。 マニュエル:お調子者のクラスメイト。アレハンドラに対するイジメは男子側で1番酷い。寝ているアレハンドラに小便をかけたのもこの人。 ハビエル:グループの中でファッティと呼ばれ弄られている。マニュエルと一緒になってアレハンドラに意地悪をする。 イレーネ:マニュエルと両思いっぽい。カミーラに従っている様子。 カミーラ:ホセの事が好きで恐らくアレハンドラに嫉妬している。 アレハンドラが友達だったこの5人は顔がそこまでガッツリ映らなかった上に、人数も多いし誰が誰かわからなくて観てるとき混乱した。 たしかカミーラは明言してなかったけど、教室の前で話すホセとアレハンドラを凝視したり、ホセにいとこの結婚式は誰と行くのか(アレハンドラと行くのか気にしてる)聞いたりしているし、かなりホセの事が好きみたい。 しかも、アレハンドラがホセと関係を持った翌朝、アレハンドラがホセに話しかけた時の目がめっちゃ怖い😱😱 多分この時には動画を見たか、その現場を間接的に見たかして、ホセと関係を持った事をどうも知ってたくさい。 誰が本当の事言ってるかよく分からなくなってたけど、カミーラがホセと関係を持ったアレハンドラに嫉妬して動画を拡散して、イジメられるように仕向けてたんだと思う。 それでマニュエルが訳も分からずそれに乗っかって、ハビエルは一歩違えば自分もイジメられるかもと思って加担 大事になったのを見て、ホセは助ける勇気がなくてアレハンドラが心配だけど話し掛ける事しか出来なかったって感じ。 だから、最初は酷いイジメをしてた奴がロベルトに粛正された!と思ってたけど、傍観者だったホセが海に簡単に投げ捨てられて、発端を作ったカミーラは裁かれてないし、ロベルトに話を聞かれた時も誤魔化して反省の色無し。 酷いイジメをしていたマニュエルもダメージなしだし後味悪い。 アレハンドラが生きてるのが救いだけど、母親を亡くして、父親まで罪を犯したと知った時のアレハンドラを考えると辛過ぎ😭 お父さんのために、昔住んでた所へ飛び出すのを堪えて家に帰った優しい子がレイプと死にかけた事で耐え切れなくなって、充電するために昔の家に戻って休んでたんだろうに、帰ってきたらお父さんは殺人者。 イジメのシーン含めて淡々と話が進むけど、救いようのない映画だった。けど、ここまで大事じゃなくても些細なすれ違いで後味悪い結果産む事って結構あるし、そういう意味で綺麗に纏まった話より現実味があったかも。
    ネタバレがあります!!
    10