パリ、テキサス
Paris, Texas
1984 · ドラマ · 西ドイツ, フランス, イギリス, アメリカ
145分



ヴィム・ヴェンダース監督が贈る、84年度カンヌ 国際映画祭でパルムドールを受賞したロードムービー。4年前に失踪し、記憶を失っていた男・トラヴィス。弟夫婦が自分たちの代わりに育てていた息子・ハンターと再会した彼は、徐々に記憶を取り戻すが…。この情報は[パリ、テキサス]に基づき記載しています。
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440pac
4.5
〜賛否分 かれるロードムービーの代表作〜 ロードムービーと言えば沢山ある中で、この作品は外せないかなと思います。 このように考えさせられる作品は好物です。 ギターの音色、少ない台詞、独特の色彩、慌てて作ったとは思えない脚本、謎の解明、可愛い少年、どれも魅力的です。 盛り上がりも少なく、淡々と静かに展開していきますがメッセージ含め受け止められた時に心が何処かスッとする作品です。 主人公の男は終始結果的には身勝手で、何一つ解決してないように感じますが、それも含めて賛否分かれるラストだと思います。 家族3人それぞれが自分自身のアイデンティティを取り戻し前を向く姿を描く本作。 決してスッキリする終わり方とは言えないが『パリ、テキサス』の写真に描かれた、この荒れ果てた土地に素敵な家を建てて仲良く暮らしてくれたら… と切なくも勝手に期待してしまいました。
てる
4.5
恥ずかしながらヴィム・ヴェンダース初めて観ました。午前十時の映画祭です。 どうせ説教臭い、映画好きにしかわからないような作品だと思っていたら、全く違った。分かりやすいし、面白い。 なんかまたむっつりした男が出てきたよ。こいつもしや最後まで口を開かないんじゃないかと不安だったが、杞憂だった。とはいえ、この男、言葉が少ない。序盤の方は、もしかして発達障がいなのかと疑ってしまうくらい言葉を発しない。話さなすぎてもどかしいのだけど、息子のために見栄を張って弟の良いスーツを借りたり、可愛いとこがある。むっつり黙っているので、息子に対してどう思っているのか全くわからなかったが、大事にしているというのがわかって、ほっこりした。8ミリフィルムの動画は涙が込み上げてきた。 その後、母を訪ねて親子のロードムービーが始まる。それがまた、この二人の旅路がたどたどしくて不安になる。この親父を信じていいのだろうか、息子は弟夫婦に預けていた方が彼のためになるんじゃないかと何かと心配になる。 本当によくあんな頼りない手掛かりで見つかったもんだ。その辺は映画の嘘ということで許そう。 ジェーンを奇跡的にも見つけてからが、またもどかしい。そんな無防備に店をふらふらするなよぉ。通報されるぞぉ。従業員に人を探してるんですって言えよとかとにかくハラハラする。そして、ようやく彼女と数年ぶりに会えたというのに、この男ときたら、全く言葉が出てこない。素性も明かさない。 劇場で叫びそうになった。 しっかりしろよ! ちゃんと話せよ! 結局、ハンターにも直接話すことなく、録音でお茶を濁す。なんて情けない男なんだ……。 再びジェーンに会いに行くトラビス。そこでようやく明かされる物語。本当にどうしようもない夫婦だなと思わされる内容なんだけど、それよりもトラビスがしっかりと自分の過去や想いを語っていることに胸が熱くなる。そっかぁそんなこと思っていたのかぁ……。 序盤の伏線やタイトルの意味をしっかり回収している。 ジェーンは完全にろくでもない親なんだけど、ハンターが黙って抱きついたことにより全部消し飛んだ。やはり、母親って特別なんだよね。 最後はトラビスが1人で去っていくわけなんだけど、トラビス一家と弟夫婦でその後揉めそうだけど、でも誰も傷つかず、無事に? 終わってよかった。 この作品が面白いのって家族の愛を描いているからだと思う。あと、悪い人が出てこないとこ。 トラビスというなんの過去も語らない謎の男だけで持っている映画なのだ。始めは兄弟の不穏なロードムービーで、その後は危なかっしい親子のロードムービー。 あっちに行ったり、こっちに行ったり、忙しい内容なんだけど、家族っていうものに常に焦点があっているからとても分かりやすくて、感情移入しやすくて、普遍的な価値観の作品なんだと思う。 ヴィム・ヴェンダースの作品をもっと観なきゃ。
toa
3.5
ずっとずっと観たかった作品。 みんな自分の時間を生きてて、人が人と繋がって暮らしていくのは当たり前じゃないなんだなぁと。のんびりしているけど結構苦い。後悔は消せない。 母似の金髪が美しいハンターはどんな人間に育つのか。やさしい弟夫婦とトラヴィスとジェーンと、色んな人を見ながらまっすぐ生きてほしい。 LAの家の屋上、トラックの荷台のハンター、見ない再会、写真に撮っておきたくなる印象的なシーンがたくさんあり映像と色遣いが好みです。 美しいナターシャ・キンスキーもハンター君も良いし、ハリー・スタントンは不思議とずっと見ていられる魅力があった。なんていうか、無言が絵になる。 観れてよかった。
こじま
5.0
これは凄い映画だった。マジックミラーがトラヴィスの人生と心そのもの。トラヴィスが最後選択した道、そこに至る過程で自己との対話が、今までに他の映画で見たことのないストーリーと映像で表現されていた。特にラストのマジックミラー越しの回想シーンと、一度目のマジックミラー越しのやりとりは、僕の生涯、心と記憶に残るシーンになった。また映画の魅力を知れた。あぁ本当にこの映画を観れてよかった!
星ゆたか
4.0
2024.6.6 およそ40年前に、私は友人と地元の図書館の映像鑑賞施設でボランティアの名画上映会を数年、毎月(基本二本立て)一回日曜日に実施していて。 そこでは観客の感想をアンケートに書いてもらったり。 私あてに便りを書いてもらったりしていた。 その観客の声を手作りの1枚のファンクラブ紙として、次回の鑑賞会に解説紙(これも作品手作り解説)と一緒に手渡ししていたので。 (その原案紙は記念に残していた。) それがきっかけで、今回の劇的再会が実現した訳なのだが。 それはどういう事かと言うと。 その時、隣市の高校生で見に来てくれたKさん(現在東京でフリーランスのイベント演出家として活躍)と。 最近、偶然に通信(手紙)再会という嬉しい出来事があり。 その彼がこの作品が、大学で映像学(Filmology)を専攻するきっかけになったという話と。 またこのKさんとの再会の後押ししてくれた古い友人が。 『明日「午前十時の映画祭」で見ようと思う』との連絡があったので(Line) 私も録画コレクションディスクを引っ張り出し、それこそ40年近くぶりに再鑑賞に至った経緯であります。 さて、ヴィム・ヴェンダース監督(45.8.14出生)といえば。昨年の役所広司主演(男優賞)「PERFECT DAYS」が話題ですが。 この「パリ、テキサス」(84)がカンヌ映画祭グランプリ受賞で。 『遅れてきたニュージャーマンシネマの4羽ガラス(ヘルツオーク、ファスビンダー、シュレンドルフ)の一人』と言われ始めた頃の作品です。 脚本は俳優でも著名なサム・シェパード。俳優としては「ライトスタッフ」(83)なんて有名ですね。 主演のハリー・ディーン・スタントン(1926~2017)さんとは。 まだオハーが決まる前に。 シェパードさんと酒を飲み、意気投合して、監督に推薦したとの事です。 そういえば、今年の3月彼スタントンさんの遺作「ラッキー」(17)を見ました。 映画のポスターの美人、ヒロイン、ナスターシャ・キンスキー(61年出生)さんは。 それこそ監督の「まわり道」(74)でデビューした女優で。 あのロマン・ポランスキー監督の「テス」(79)はとても良かったです。 この二人は年の離れた元夫婦役で映画の内容に、実年齢差35歳がちょうどピツタリ。 あの“のぞき部屋”で。男性客の話し出した『たとえ話』を女性が聞いている内に、自分の過去の話に《似てる?》。 次第に、これは《私達の話》すると、客だとする特殊鏡の部屋越しの男は? 《私の夫》に違いないと気づき、涙が自然に流れてくる“名シーン”は中々見せ場ですよね。 ここで、それまで映画の中で。 弟が『兄さん、この4年の間に何があったんだい?』の疑問が明らかになり。 観客にとっても、やっとこれで、それまでぼやけていた、主人公の生きざまに“焦点”(ピント)があってくる訳です。 またこの主人公はそこで、彼女に息子がホテルで待ってるから会いに行ってほしいと話し。 その息子には、小型手持ちレコーダーに。 父親の心情を録音し、手渡してあり。 その上で母親との対面をさせる訳です。 この映画では。 やっと彼らは素直な気持ちで再会出来る所まで来たのだから。 三人で良かった、良かったって抱き合えばいいのに?。 というのが、普通の観客の感想だと思うのだけれども…。 このラストについて。 サム・シェパードは。 『……本当に壊れたものは彼自身の中にある。その正体を見る為には一人で見つめるべき。彼は母と子を一緒にさせ。彼自身も一緒にできるように旅立つのです。』と語っている。 私はこの最後もそうですが。 その前の母と息子の再会の場面。 40年近く前に見た時も、今回も。 七、八歳位の男の子、本当の両親のように、父親の弟夫婦に大事に育てられた子供が。 こんなにも抵抗なく、実の母とする女性(8ミリ家庭ビデオの映像でしか、4歳の時別れて印象のない母)と抱き合えるものか?と思ったが。 何故なら本当の父親は、これまで父と思っていた人でなく。 ある日突然、父親に連れられてきた父親の兄のその男の人だと言われても。 中々受け入れず、その象徴場面として。 あの公道の両側の歩道に、それぞれ別に歩いている、子供の学校の帰り道の描写があるくらいなのだから。 だからあの母子の再会の場面の印象も。 『うーん?』と感じてしまったのである。 何の抵抗もないの?と。 結局この物語は、若すぎた妻と、年の離れた年長の夫との、上手くいかなかった夫婦関係がこわれ、放棄してそれぞれ勝手に生きていて。 その間、子育てを、父親の弟夫婦に任せっぱなしにしていた兄、その妻が。 やっと、子供を主軸にした人生道を歩き直す一歩にたどり着いた話というのがその話筋だ。 とりあえず母と子の道ずれで進み、父はもう少し自分探しの旅になるけれど。 前半の〈謎〉の主人公父親とその息子と思われる二人の〈過去に時が止まり固まっていた〉関係が。 少しずつ溶きほごされる描写が、自然ロケーション撮影空間の中、実に何とも気持ちいい。 その鮮やかでクッキリ映像と特徴的なギターの音色が響く音楽がいつまでも、乾いた砂漠に染み入る《活きる水》の如く心に残る傑作である。
みう
4.0
まだ私には早かったのか、ストーリー自体はピンとこなかったけれど…音楽と映像が見事に調和していて、かっこいい映画でした。 砂が広がるばかりの荒れ地に佇むハリー・ディーン・スタントン。 ライクーダーの、気怠く響くボトルネックギター。 あまりの画になる様子に、冒頭からじーんと心に沁みてきます。 BGMとして流しておいてもいいくらい素敵。 子供を持つと、この映画の良さがもっとわかるのかもしれないです。
ムービーゆうすけ
3.5
2024年 9月26日 パリステキサス リスナーから勧められた良作。 序盤なんとも言えない映像美から 好みのタイプだったが 少しだれてきた中盤あたりで 息子との母親探しになり そこからラストまで一気にたたみ込む。 ラストの掛け合いは本当に会話をのぞきこんでいるかのような音でどこか心地よさを感じた。 陳腐な家族愛ではなく偏愛。 利己的であり、相手を思い過ぎる事でさえ 利己的な行動をとってしまう切なさがある。 ブラウン管のテレビでこれをかけっぱなしにして配信してしたいぐらい雰囲気が好み。 ちょっとみんな予告だけでも良いから 観て! ps. パーフェクトデイズのビムヴェンダース
dreamer
4.5
砂埃のする荒野を、ひどい身なりの男が放心したように歩いている。 シタールを強いタッチで弾いたようなギターの響きが、荒野と男との無味乾燥な関係を印象づける。 彼は一体、何者で、どこから来たのか? 一軒家に辿り着き、倒れてしまったこの男の持ち物から、ロサンゼルスの弟に連絡が行く。 だが、弟が仕事を中断して、はるばるメキシコ国境ぞいのテキサスの地まで迎えに来たのに、兄は一言も口をきこうとしない。 一体、何があったのか? ハリー・ディーン・スタントンが熱演する中年男の名は、トラヴィス。 彼は、四年前に妻ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)と幼い息子ハンター(ハンター・カースン)を捨てて失踪した。 その後ジェーンも姿を消し、ハンターは、弟夫婦の家で実子として育てられている。 この映画「パリ、テキサス」は、トラヴィスが、自分で断ち切った過去を取り戻す過程を描いて行くわけだが、そのクライマックスは、ジェーンとの再会と和解だ。 彼は、ジェーンをヒューストンの怪しげな、のぞき部屋で発見し、客として彼女の前に姿を現わす。 マジック・ミラーで仕切られ、話はインターフォンを通じて行なうのぞき部屋は、客が女に猥褻なポーズをとらせて、のぞき趣味を満足させる場所なのだ。 それと同時に、まさに教会の聴聞室のように、客が懺悔や告白を聴いてもらい、心を落ち着ける場所でもある。 つまり、のぞき部屋は、世俗の教会なのだ。 ただし、トラヴィスとジェーンとの関係は、告白者と聴聞僧との関係にはとどまらない。 客を装ったトラヴィスが、懺悔する彼の過去を職業的に聴くうちに、彼女は、自分がその告白の物語の主要人物であることに気付くのだ。 愛しあっていたのに、どこかで狂ってしまった関係。 ジェーンが逃げれば、トラヴィスが追い、暴力をふるった。 狂気のはての失踪----------。 恐らく、二人の不幸と幸福は、このガラス越しの関係こそが、最も理解し合える関係であり、こののぞき部屋が、家庭よりも親密な関係を可能にすることだろう。 男と女が本当に理解し合える場は、もはや、のぞき部屋の中にしかないのだろうか? 最終のシーンは、トラヴィス、ジェーン、ハンターの三人が、再び家庭を作ることを暗示しない。 ジェーンは、ハンターと再会し、彼をしっかりと抱きしめるが、トラヴィスは、二人の再会を喜びながら、車でどこかに去って行く。 家庭とは、もはや母子家庭でしかないかのように----------。
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