十六歳の舞妓小えんは特急こだまで東京見物にやって来た。小えんの連れはおかみの知り合いで東京の芸者よしえ。小えんが上京する本当の目的は、東京の馴染み客の借金徴収だった。よしえは小えんに同情した。東京に着いた小えんはだらりの帯の舞妓姿で、まず評論家小山を訪ねた。が、あっさりとだまされた。商事会社の重役谷山も部長の西山も冷たかった。途方にくれた小えんは夕方の公園でしょんぼりしていた。そこで小学校の同級生修吉と何年ぶりかで再会した。彼女の心もしだいに晴れてきた。修吉は昼間酒屋で働き、夜学に通っていた。彼のアパートを訪ねると、修吉の母よねが上京の車中で隣合せた老婆だったので二度びっくりした。三人で明日は遊覧バスに乗る約束をした。小えんの厄介になっているよしえのところへおかみが病気で、小えんの旦那取りの話があるから帰すようにといってきた。よしえの旦那は小えんに同情した。東京見物を終えた夜、柴田は小えんをナイトクラブに案内した。そこで小えんは借金も返さぬくせに、女とふざけちらしている男たちをみて、大人の世界に失望した。修吉を訪ねた小えんは楽しい一刻を過し、日本一の舞妓になる決心をし、京都に帰ることにした。何も知らぬ小えんを、よしえ、修吉、柴田が見送った。列車がみえなくなると、柴田はよしえにそっといった。「二、三日中に京都に行って、小えんを養女にしてくる、そして学校にも通わせよう」。小えんを乗せた列車は富士の裾野を西に向って走っていた。
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