レビュー
レビュー
    star4.0
    [ユリゴコロ]は心の拠り所 [死]だけに心を動かされる人 それは持って生まれた[心の歪み]か? それとも単に不幸な[思い込み]か? 最も透明感のあるサイコパスの物語。 ふんわりした吉高由里子と[殺人鬼]のギャップが凄いです。 あなたの優しさは容赦がありませんでした [恐怖][復讐][破壊衝動]… [死]に直結した感情は、人の心を強く引きつける。 それは[生]への執着の裏返し。 痛みに安らぎを感じる人にとっては、 優しさに突き刺すような切なさを感じるのかもしれない。 [異形な心]の哀しみか [揺らぐ心]の切なさか 自分で作った[宿命]という檻に閉じ込められた悲しき[ユリゴコロ]でした。
    190
    前半はグロいしとにかく帰りたかった。後半からが見せ所。 演出が良い。吉高由里子は赤いコート、松山ケンイチは黒いコートを着て出会う→松山が吉高に真相を伝えた日、吉高のコートは赤と黒の混ざった模様→さらにその次吉高は黒いコートを着ていて、松山が吉高に赤いマグカップを差し出す。お互いがお互いの「ユリゴコロ」になった瞬間が色彩で描かれている。 「ユリゴコロ」とは言い換えればその人が生きる小さな物語のようなもの。 例えばブランド品は誰にとっても価値があり、そこにはある種の大きな物語がある。それに対し小さな物語は一般的に価値はないけれど自分にとって大切なもの。国家という大きな物語が崩壊した現代の私達は小さな物語にすがるしかない。小さい分、「私だけ」感が生じてしまう分、大きな物語よりも強大で恐ろしい。 誰もが物語=ユリゴコロに苦しみ、勇気付けられる。そんな普遍的な私達の日常を「殺人」という非日常で描いていた。 美しくなんかないけど少しだけ背中を押されるような感覚。俳優一人ひとりの演技力も高く、映画館で観て良かったと思える作品でした。
    190
    “全く共感できないけど、のめり込んでしまう”。冒頭のセリフそのまま、様々な形の“心の拠り所”が交錯しながら、1つのエンドに収束していく様にのめり込んでしまう、狂気サスペンス。 第14回大藪春彦賞受賞、“まほかるブーム”の火付け役となった沼田まほかるの小説の映画化。音楽は『8日目の蝉』('11)の安川午朗。 吉高由里子がまさにハマリ役。狂気的なシーンに、彼女のどこか冷徹な表情が、鬼気迫る要素を増幅させていると思う。 心のよりどころ“ユリゴコロ”を軸に、死をユリゴコロとする美紗子(吉高由里子)、人の死を経験してユリゴコロを失っている洋介(松山ケンイチ)、婚約者の失踪でユリゴコロをなくす亮介(松坂桃李)が、時間軸を交差しながら繋がっていく展開は芸術的。 オナモミ(草むらを進むと服にくっつくアレ)が映画全体を通して象徴的で、心の中にあるトゲの表現や、ラストのキーになるポイントに使われている。特に、美紗子の心が解放される、この映画の大きな転換となるシーンの、山のようなオナモミが印象的。少女の頃から心に棘を内包していた美紗子が、一度は全ての棘を解放して正常となるものの、ラストの現場に見つかる棘が、やはり彼女の内にあった狂気を暗示していたと思う。 場面の転換説明がとても丁寧なので、消化不良にはならない反面、2時間ドラマ的な軽さに繋がっているのが残念。また、ストーリーが自分でも読めたので、分かりやすすぎ、と思う人も多いかも知れない。
    130