幼い頃父を亡くした繁少年は、牛使いの名人といわれた円吉じいさんによって育てられてきた。じいさんの牛に生れた牡の仔牛が、少年の唯一の親友だった。じいさんも、少年と仔牛の遊び戯れる姿に、彼を立派な牛山師に仕立てようと決めていた--それから七年、仔牛は見事な巨牛となり繁も逞しい青年となって、牛山師としての生活が始まった。仙頭岩吉の引立てで、繁はみるみるうちに仕事を習得したが、この様子に仲間の荒くれ男鉄三は快く思わなかった。ある日、直径二米もある巨木を六頭の牛で引いて急坂にさしかかった時、元牛をやっていた鉄三牛がどうしてもいうことを聞かぬので、仙頭岩吉は元牛を繁牛に代らせて無事に難所を切り抜けた。その帰途、鉄三は繁を待伏せして、鉄三牛を繁牛にけしかけ、先刻の仕返しをしようとした。だが、鉄三牛は繁牛の力を感じて闘おうとしない。鉄三は激怒して自分の牛を殺し、折から山祭の夜、酔払って繁の家に暴れ込んだが、誰もいないので繁牛に八ツ当りをした。繁牛は猛然と反撃して、彼を暗闇の崖下に突落した。山の掟で人を傷つけた牛は殺さねばならない。だが、鉄三を快く思わぬ岩吉らの計いで、繁は牛と共に故郷を離れた--山を越え川を渡り、仕事場を求めて繁と牛の流浪の旅は続けられた。川のほとりの村、少女ツルとふと知り合った彼は材木商をやっている彼女の家で働くことになった。しかし、そこにも鉄三の手が伸びた。繁と牛とは川を渡って逃れようとしたが、鉄三はセキを切って激流に繁と牛を溺れさせようとした。だが、繁と牛との愛情に心うたれた鉄三に、人間の心が甦り、乾分たちが驚くのを尻目に繁と牛を助けるため、激流へ身を躍らせた。
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