パリの下町、丘のあるカルチエでの物語。タクシーの運転手をしているジャンは向いのアパートに住んでいる花売娘のアンナが好きだった。だが彼にはポーラという此の界隈にうろついている女がついていた。アンナとてジャンには心をひかれていた。で、フランスの国家祭ともいうべき七月十四日の革命記念日の前夜、二人は野天で、町の真中で踊った。が、この夕アンナは酔いどれの老人客に失礼したというので花を売りに出入りしていたダンス場から出入りを断られたので少し心が鬱いでいた。が、俄か雨で踊りの人が散り、彼女がジャンと二人きりになった時、二人は互いに本当に恋をしているのだという事を知った。それは二人にとって幸福な夜だった。が、翌日、七月十四日、もうパリ全市の人々が祭りで有頂天になっていた日ジャンの室を訪ねたアンナは其の室に女の持ち物を見た。これはポーラの持物で昨夜遅く彼女はジャンを訪ね押し掛けで泊まり込んだのであるが、ジャンはアンナに義理を立て一晩を外で明かしたのである。そんなジャンの思いやりを知らぬアンナは一重に男の心を疑った。が折も折病いの床にいた母が彼女一人を残して此の晩に死んで行った。アンナは一人ぽっちになり、やがて室も引越し近所のキャフェに勤める事となった。一時の誤解から仲違いしたアンナとジャンとはそれから長い間、逢わないでいた。自棄になったジャンは与太者になった。が、ポーラももう彼の女ではなくフェルナンというアパッシュの情婦となっていた。或夜、ジャンはフェルナンの片棒を担いでキャフェに強盗に這入った。それがアンナの勤めているキャフェであった。アンナを見た時にジャンは我に返った。そして彼女を守ろうとした。アンナも男をかばおうとした。これが結果でアンナはキャフェから解雇された。二人がまた逢わないで日が経って行った。その内に、アンナは以前の酔いどれの老人客から法外な金で花を買ってもらった。彼女はその金で久しくやめていた花売りをまた始めた。そして或る日の事、アンナの手押車はタクシーにぶつかった。その運転手はジャンだった。ジャンもまた正業に戻っていたのである。二人の周りを取りまいて互いに加勢する野次馬がワイワイ騒いでいる内に、また俄雨がふってきた。野次馬は散って、またジャンとアンナとは二人きりになった。
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