男(塚本晋也)が目覚めると、体を動かすこともできないコンクリートの密室に閉じ込められていた。どうしてこんな所に。ここに来る前はどこにいたのか。唯一分かっているのは、自分の腹部が出血し、早く手をうたないと死んでしまう、ということだけ。男は必死に体を動かし、異常に狭いコンクリートの空間を移動していく。そして行くたびに恐ろしい地獄が待ち受けている。どんなに移動しても、一条の光も見ることのできない男は、ついに力尽きる。死の淵に身を横たえた時、何か忘れていた大事なイメージが甦りそうになる。そのイメージにすがりつくように最後の力を振り絞って移動していく男。すると、男はひとりの女(藤井かほり)と会う。女も地獄をくぐり抜けてここにたどり着いたようだ。男と女は、少しずつ元いた場所を思い出しそうになるが、その世界は空漠として、本当に帰りたい、帰るべき場所なのか曖昧に思えてならない。男は脱出をあきらめようとするが、女はやはりさらに進む、という。ふたりは、この地獄から脱出することができるのか。そしてこの先ふたりにどんな地獄が待ち受けているのか。そこに光はあるのだろうか……。
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