愚か者の日
Tag der Idioten
1981 · ドラマ/ファンタジー · 西ドイツ
110分
キャロル・シュナィダー(キャロル・ブーケ)20歳。裕福な家庭に生まれながら、内に深い狂気を秘める彼女の言動は日ごとにエスカレートするばかりで、近所に住む女性を見境いなくテロリストだと密告し始めるに至って、ついに警察によって精神病院に収容される。そこは女ばかりの異様な館で、ジプシーや娼婦、それにキャロルによって密告された女までがいた。病気は観念に過ぎないという信念を持つこの病院の女医ラウラ(イングリッド・カーフェン)は、キャロルの錯乱が見かけだけのものであると判断し、何とか彼女の心を開かせようと接近してゆく。ラウラの考え方は患者をなるべく束縛せず一般社会と同じように暮らさせるという一種の解放病棟の方法であったが、退院を勧めるラウラの言葉に逆らうようにキャロルはさらなる狂気の淵に沈んでいった。常に自分の生を自覚し、それゆえ逆に強く死を願うキャロルにとって今や病院はついのすみかのように思えた。にもかかわらずラウラの手によって強引に社会に戻されたキャロルは結局自分の居場所を見つけられぬまま車にはねられて死ぬ。その死に深い罪の意識を感じたラウラもまた突然激しい錯乱に陥り、その脳裏から病院と外の社会をへだてる壁ははぎとられていった。