わが愛は山の彼方に

わが愛は山の彼方に
1948
101分
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小山進は大学の研究室から出て、小田内村の診療所にやって来た。実際の仕事をやらねばならない、というわけで新妻ヒデ子を伴い大いにハリ切って来たのだが、すっかり腐ってしまった。農業会長の木戸や村長の橋本は下にも置かぬ歓迎ぶりだった。しかしこの貧弱な施設は一体どうしたことか、失望の色濃い小山をヒデ子は優しく励ました。小山も一応は思い直して仕事にとりかかった。ところが村人達の医療というものに対する無知さ加減と来たら腹が立つよりあきれる程で我慢のならないものだった。村一帯に結核菌蔓延の徴候があった、殊に小学校の児童にそれが甚しかった、村人達の妨害を押し切って彼の活躍が始った。これはしかし彼一人では無理な話だった、こうなれば集団検診の強行あるのみ。この計画は村民を驚愕させた。この頃元々身体の余り強くないヒデ子は無理がたたって参ってしまった。小山と相談の結果ヒデ子は養生の目的でしばらく里に帰った。残された小山は寂しかったが、異常に仕事熱心な看護婦テルが絶えず小山を励まし手助けした。テルは単なる好意や援助の気持以上のものを小山に感じていた。その気持が相手に通じないわけはないのである。小山も何か感じていた。仕事は進ちょくした。集団検診の時期も到来しつつあった。絶えず頭の中にくすぶっていた研究室に帰るという希望はもはや捨て去り、この村でやり抜く決心がついて来た。その頃ヒデ子が良くなって帰って来た。テルは新しい出発のため、この村を去らねばならなかった。小山夫婦も更めて生活の設計を立て直す事にした。

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