群衆は叫ぶ

The Crowd Roars
1938
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ニューヨークの貧民街に生まれたトミー・マッコイは、幼い頃から声自慢で、おまけにすばらしい腕力の持ち主だった。酒飲みの父ブライアンは彼を喰いにして暮らしていたが、トミーの腕力を認めた軽重量選手のジョニー・マーテインは彼を1人前のボクシング選手に仕上げるために苦心した。そして苦心は報われて、やがてトミーは立派なボクシング選手となった。時が経っていよいよニューヨークの桧舞台で強敵と一戦を交えることになった。ところが生憎相手の選手が病気になったので、その代わりに選ばれたのが皮肉にも旧師のジョニー・マーティーンだった。彼はすでにリングから引退していたので到底トミーの敵ではなかったが、妻子を養うため無理にも出場しなければならなかった。トミーは軽く判定勝を得るつもりで力を抜いて戦っていた。しかし思わず過て放った一撃でジョニーはマットの上に倒れ、とうとう永久に起き上がることができなかった。トミーはつくづくボクシング稼業が嫌になって一時リングを退いたけれど、衣食に窮してきたので止むなく節を曲げ、ジム・ケインという金持ち賭博者と契約を結び、いかさまボクシングで金儲けをすることに同意した。しかしその利益の何割りかをジョニーの未亡人に与えるという条件付だった。トミーは田舎に引きこもって練習をするうち、ケインの娘で純真なシェイラと恋に陷ちた。ケインの賭博の相手ウォルシュは、トミーの試合に莫大な金を相手の選手に掛けたが、酔っぱらったトミーの父ブライアンから彼が有名な選手だったことを聞くと、直ぐブライアンとシェイラを誘拐し、一方とミーに脅迫状を送ったその試合の8回目に負けなければ、父親と恋人の命はないものと思えと告げた。止むなくトミーは負ける決心をした。そして気のない試合を続けているうち、ブライアンの機知で悪者の手から逃れたシェイラが駆付けて応援したので、もう大丈夫と知った彼は相手を打倒して立派な勝利を得た。しかしブライアンは伜と愛人のため犠牲となって倒れ、ウォルシュ一味は逮捕された。そしてトミーとシェイラが晴れて楽しく結婚したのは言うまでもない

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