法に追われて
Held By The Law
1927
メリー・トラヴァースとトム・シンクレアとは親同士も許し合った仲で、楽しい結婚の日を指おり数えて待っている当の両親は固より、親達も包みきれぬ喜びを微笑して、両家は春光耀々たるものであった。ところがトムの従弟に当たるボリス・モートンは一方ならぬやくざ者で良からぬ所業を重ねていた。厳格なトムの父親ヘンリイは甥の悪事を打ち捨てても置かれず、ある日ボリスを手厳しく叱責した。それを恨んだボリスはひそかにヘンリイを狙撃して殺した。しかも狡猾な彼はその罪をメリーの父親ジョージに塗り付け、自分は何食わぬ顔をした。事件当時の周囲の状況が悉くジョージに不利であったため、裁判の結果死刑を宣告された彼は哀れにも死の手の前に、シン・シンの獄舎に逗留しなければならなかった。父の無罪を信じて疑わぬメリーは如何にもして真犯人を捜さんと決心した。そして自分に言い寄るボリスに不図疑惑の眼を注ぎ、恋人トムや探偵と協力して、苦心の結果ボリスの犯行の証拠を握り、死の瞬間父親ジョージを救うことが出来た。