サタンがおまえを待っている

1980年から90年代にかけ、アメリカで未曾有の大パニックが巻き起こった。「幼い頃、悪魔崇拝の儀式の生贄に捧げられた」という告発が相次ぎ、被害者たちの証言によると、子どもに対し数々の残虐な儀式虐待が行われ、年間200万人もの子どもが犠牲になっていたという。警察やFBIも動く事態となったこの騒動のきっかけは、1980年にミシェル・スミスという女性とその精神科医ローレンス・パズダーによる共著として出版され、アメリカで大ベストセラーとなった書籍『ミシェル・リメンバーズ』。そこには、ミシェルが退行催眠により思い出した幼少期の記憶が記されており、5歳の頃に悪魔を崇拝する教団に引き渡され、儀式に捧げられたというものだった。その衝撃的な内容はテレビのバラエティやワイドショーでもセンセーショナルに取り上げられ、アメリカ全土を恐怖に染めてゆく……。