ニトラム/NITRAM
Nitram
2021 · ドラマ/サスペンス · オーストラリア
110分
© 2021 Good Thing Productions Company Pty Ltd, Filmfest Limited


1990年代半ばのオーストラリア。母(ジュディ・デイヴィス)と父(アンソニー・ラパリア)と暮らすニトラム(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、孤立し周囲に馴染めずにいた。母は彼を“普通”の若者として人生を謳歌してほしいと願う一方、父は彼の将来を案じ、出来る限りのケアをしようと努めていた。ある日、サーフィンに憧れるニトラムは、ボードを買うために、庭の芝刈りの訪問営業を始める。そんななか、引きこもりの裕福な女性ヘレン(エッシー・デイヴィス)と出会うニトラム。だが、彼女との関係は悲劇的な結末を迎え、彼の孤独感や怒りは増し、破壊への道を辿り始める……。
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Tsukky
4.0
個人的に観終わった後に初めて「joker」を観た時に近い放心状態に近い感覚を持ちましたが、この作品は実話を元に作られていることもあり、さらにドスンと心に来ました‥ 自分自身も普通に近いように生活しても、どこか普通にはなれない感覚を持つことが多々あります。精神的な病を持っていない自分でも抱くその感覚を、精神的な病を持った人はさらに強く感じているんだと想像します。 本作でマーティンは普通に振る舞おうと努力する場面も見られるけど、結局本人の意思を超えて望まない自分が出てしまって、それが原因で周りを傷つけることになっていってしまう過程は観ていて本当に辛かったです‥ ただ、本作の1番のポイントはそのマーティンを見てあげる人がいるかという事だと思います。 母親はマーティンと目を合わせることを途中でやめてしまうし、マーティンの異変にも気付いていながらスルーしたりと、マーティンを止められる唯一の母親がマーティンに向き合わなかったことがラストへと繋がっていく原因のように感じました。 結局、マーティンが最後の行動に出たのもTVに出て、母親に見て欲しかったからのようにも感じました。 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの演技は、ジョーカーを演じた、ヒースレジャー、ホアキンフェニックスに迫るものがあると思いました。
Till
3.5
オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞など8部門を受賞したドラマ映画。 1996年4月28日にオーストラリア・タスマニア島のポート・アーサーで起こった無差別銃乱射による大量殺人事件「ポート・アーサー事件」の犯人マーティン・ブライアントの「事件を起こすまで」を描く。一日の犯行で死者35人、負傷者15人の犠牲者を出したオーストラリア史に残る凶悪事件で、これを機に世界中で銃規制を求める声が高まったという。知的障害かつ何のライセンスも持っていないマーティンが簡単に自動小銃を手に入れられる銃社会の恐ろしさにはやはりゾッとするし、正直異常としか思えない。日本に生まれて良かったなと改めて実感した。 ただ、このマーティン・ブライアントという人物ももちろん同情はできないが、何とか救うことができなかったのだろうか。知的障害をもつ彼はその数々の奇行から近隣住民には忌み嫌われ、同級生からもいじめの対象となってしまう。映画のタイトルにもなっている「NITRAM」というのもマーティン(MARTIN)を逆さ読みにしたもので、小さい頃に同級生から蔑称で呼ばれていたもの。彼は周囲の人間から完全に「社会不適合者」の烙印を押されてしまっているのである。 しかし、マーティンは決して根っからの悪人とは言えず、優しい心を併せ持った人物でもある。そんなマーティンの人間性に惹かれる者も僅かながら存在して、彼の奇行に必死に耐えつつも無償の愛を注ぎ続ける父親、そしてとあるきっかけから友人関係となる資産家のヘレン、彼らはマーティンの数少ない理解者であり、マーティンも彼らのことを心の底から愛している。でもそんな彼らでさえも自らのちょっとした言動・行動で傷つけてしまう。「やってはいけないことをやってしまう」彼の困難な性格が愛する人をも傷つけてしまうのである。本人に決して悪気がないというのがまた哀しい。彼が心境を吐露する終盤のシーンには何とも言えないやるせなさを感じた。 そして特筆すべきは主演を務めたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの繊細な演技。心優しいけど気性は荒い、温和だけど暴力的、大人だけど子供というこのアンビバレントな難しい役柄を見事に演じきっていた。第74回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞したのにも納得の素晴らしいパフォーマンスだったと思う。 人を殺傷できる「銃」を手軽に買えてしまう銃社会の恐ろしさを描きつつ、社会に馴染めない人間の生き方についても考えさせられる本作。もし身近にマーティンのような人間がいたら、おそらく自分も距離を置いてしまうだろう。しかし、そういった人物にこそ救いの手を差し伸べる必要があるのだと痛感させられました。
邊見 猛
5.0
ネタバレがあります!!
Sae Darcy
4.0
「鏡に映る自分をみて、こいつをみんなと同じ普通の人にしてあげたいと思うのに上手くいかない」と言った言葉、頭打たれたみたいに自分にも響いてしまった。人と違うと気付きながらも、もがけばもがくほど”普通”から遠ざかってゆく苦しみ。 そんなマーティンの正直な気持ちを、でも母は正面から受け止めようとしなかった。最早その余裕がなかったのかもしれない。 鑑賞中ずっと自分が親だったらと考えていました。私だったらこの子に愛情を持ち続けられるだろうか…見放さないでいられるだろうか…。映画を観ている限り、この母には少なくとも愛情はあった、ただただこのコントロール不可能な状況や進展のない人生に疲弊していただけ。 奇怪な振る舞いにより社会から虐げられてきたことが、最終的に犯罪行動に繋がった1つの原因となったかもしれませんが、母が語るマーティンの幼少期エピソードから、元々思いやりのある子だとも思えません。それが知的障害が理由なのか優しさの欠如なのかはもう他人からは判断できませんが。 発散方法も知らず、怒りや悲しみを溜め続けたマーティンの表情には映画とゆうのを忘れてしまうほどに身の危険を感じました。 本作は最後にも銃規制について語っていますが、それはあくまで二の次の話であり真の目的は知的障害者への周りの接し方、犯罪者を作る社会についての問題提起だと思います。 もちろん予測不能な行動や異常と思える行動に周囲の人間が恐怖や怒りを覚えるのも当然のことだと思います。ただ理解しようとする姿勢を持つこと、それが自分に出来ることではないかと感じました。 この不安定な人柄を見事に演じ切ったケイレブ、繊細な表情の変化には最早恐怖さえ感じ目が離せませんでした。
かわうそ
3.5
実際の事件を元に作られた作品ですが、どこまでがリアルなのかは分かりません。 主人公は元々、知的な部分などに問題があるように見えます。 治療の為の投薬はしていましたが、母親は普通の青年として生きて欲しいと願っているようです。 しかし本人がその普通が何なのか分からない。 人と違う何かが、何なのか分からない。 そこが彼を追い詰めていったのだと思えます。 最後まで名前を呼ばれることのなかった主人公。 少しずつ狂っていく様は、未来が予想出来て辛いものがありました。
cocoa
3.5
1996年4月28日、オーストラリア、タスマニア島で起きた無差別銃乱射事件を描いた作品。 原題の「NITRAM」は犯人の名前MARTINを逆さ読みにした侮蔑な呼び方。 知的障害と発達障害があると言う27歳のマーティン。 精神科医に通いながら父と母の3人暮らし。 子どもの時から社会に馴染めず、しかし突拍子もない行動で騒ぎを起こしてきた。 そんなマーティンが世界中を震撼させた「ポートアーサー無差別銃乱射事件」を起こすまでを描いていますが、観た後にはどんよりと気分が落ち込みレビューが書けなかった。 マーティンの両親の描写がとてもリアルに感じた。 マーティンに寄り添い甘やかし気味な父親と、マーティンをいつも追い詰める無表情な母親。 母親だって長年において育てづらいマーティンの存在に疲弊しきっていたのだろう。 そんな親子関係に変化を与えたのがかなり年上の女性ヘレンの存在。 (おそらく母親と同じくらいの年齢か) マーティンがヘレンの理解の元で暮らし始めてから明るくなっていく姿が何とも言えない。 ヘレンに「銃だけはダメ!」と言われたマーティンがその後あんな事件を引き起こすのも彼の必然だったのか…。 理解してくれていた父親とヘレンを亡くし、ヘレンにもらった50万ドルほどの大金を銃を揃える資金にするマーティン。 きっかけはTVで見た銃乱射事件だとしてもマーティンの心に積み重なってきた負の感情の爆発だったのか。 「普通の人間になりたい」と何度も思っていた彼の苦悩は理解され難いだろう。 オーストラリアではこの事件後に銃規制を厳しくしたが、結果的にはさらに多くの銃が所持されていると言う。 銃免許も所持届けもあれば銃は決して無くならない。 でもそんな銃社会の危惧に訴えると言うよりも、私にはマーティンのような「はみ出し者、孤独者、変わり者」と言われる人間がどのように社会に関わって行くべきか、それが大きなテーマに感じた。 映画は銃乱射のシーンは映さず、銃声のみ。 さらにニュース報道のTVが見える部屋の外で煙草を吸う無表情の母親の姿がインパクトがあった。 そもそも映画の中で息子を「MARTIN」と名前で呼ぶシーンがなかったのが異様なのかもしれない。 それから実際の事件の詳細をいろいろ読んでみると不思議だった。 35人の犠牲と多くの重傷者が出たが誰も犯行を阻止できなかった。 あのマーティンが殺人マシンになっているかのよう。 今でも犯行の動機はわからず、タスマニアでは触れられたくない事件だとか。 マーティン役のケイレブ・ランドリー・ジョーンズの怪演がすごい。 「スリー・ビルボード」でサム・ロックウェルに大怪我をさせられてもジュースのカップを優しく向きを変える男とはまったく違う。 今作では見る度に変わる眼差しがとても記憶に残った。 そして「JOKER」と同じ…いや、それ以上に心に重く残った。
なでかた
4.0
おもいぜ😣
さちゃちゃりーぬ
3.5
本当にあった事件を基にしてつくられてるとは知らずに見たため、最後の説明文で、「現実にあったことだったのか…」と愕然としました。 普通と違うって言ったら聞こえが悪いけど、周囲に馴染めず、言動がおかしい。そんなニトラムの生活を見せられていると、じわじわと何だか怖いのです。何をおこすの?何を考えているの?と、見ていて不安感が…。 何をどうしたらニトラムが恐ろしい事件をおこさずに済んだのかな。 事件についても調べてみたくなりました。 2024.6.19
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