レビュー
レビュー
    star4.0
    第一次世界大戦直後 慰霊碑建立詐欺罪で逮捕された男が語る数奇な物語。 戦争で顔の半分を失った戦友は、仮面をつけて蘇った。自らの過去を捨てて… 時代に翻弄された人々の悲劇をユーモラスかつファンタジックに描きます。 負傷し絶望した男が身寄りの無い少女と心を通わせて復活する姿が感動的。 生来の[画力]を武器にして… 時代の芳華が味わい深い傑作浪漫でありました。
    160
    戦場での不条理な突撃命令により顔の下半分を失ったエドゥアールは一命をとりとめたものの、その容姿は余りにも変わり果ててしまっていた。また、痛みを抑えるためにモルヒネを投与していた彼の意識は、いつも朦朧としていた。もはや彼は生きる屍なのだ。そんな彼のそばにはいつも身の回りの世話をしてくれるルイーズと言う名の、ちょっと風変わりな女の子がいた。 ある日のこと、人前に出る時はいつも奇妙なマスクで顔を覆っているエドゥアールが、彼女の目の前でマスクを外し、醜い素顔を晒すことに。だが、ルイーズの反応は意外なものであった。その小さな手で慈しむようにエドゥアールの顔に触れる彼女の姿を見て、私の涙腺は脆くも崩れ去ってしまった。ルイーズの心の中では、恐れよりも憐れみの気持ちのほうが勝っていたのだろう。 いや、それよりも彼女はこれまでに弱者のことなど気にもかけない、私利私欲にまみれた大人たちをたくさん見て来たのだろう。強者が弱者を力でねじ伏せる世の中だ。その醜い心根と比べれば、エドゥアールの醜い顔なんて、取るに足らないものだと感じたのではないだろうか。 ルイーズの華奢な体を抱き締め、声にならない声で泣きじゃくるエドゥアール。 本作は今年見た映画の中で間違いなくベスト1ですね。
    60
    小説の映画化で見事な脚本、全体的には奇妙な友情で結ばれた「戦友」同士の半生記であり、また映画界で繰り返し描かれる「父と息子」の物語でもある。さらには、勧善懲悪の活劇的な要素も散りばめられ、本質的にはコメディでもある。 これらの意味で王道を行く映画だと思うし、ハリウッドでは絶対出せないヨーロッパ感が嬉しい。 また、「仮面」がいい。もはや完璧なアート作品であり、表情を失ったエドゥアールの心情表現でもありで、これらを観るだけでも価値ありだと思う。 憎々しい悪役の存在も光り、多弁でない理解者が「少女」であるところや、ラストの哀しさと爽やかさの並列も良かった。
    20