ローリング・サンダー
Rolling Thunder
1977 · アクション · アメリカ
99分
(C) 1977 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.



1973年。8年におよぶ北ベトナムの捕虜キャンプ生活から解放された空軍少佐チャールズ(W・ディベイン)が、故郷テキサスのサンアントニオへ帰ってくる。歓迎の人波にもまれても、この英雄の心は死んでいた。ベトコンから受けた骨もきしむような拷問の中で、彼は自分を殺していた。そうでなければあの屈辱と苦痛の中では生きていられなかったろう。共に帰国したジョニー(トミー・リー・ジョーンズ)も同様だ。
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dreamer
4.0
あの究極のオタク監督クェンティン・タランティーノが、自らが主催する埋もれた映画の配給会社名にしてみたり、はたまた「イングロリアス・バスターズ」では、ブラッド・ピット扮するアルド・レイン中尉のその名前のルーツだったりするのが、この映画「ローリング・サンダー」だ。 「タクシー・ドライバー」でハリウッドのトップ・シナリオライターになったポール・シュレイダーのオリジナル脚本を、「組織」で注目されたジョン・フリンが監督したバイオレンス・アクションだ。 とはいえ、ストレートなエンターテインメント作品になっているわけではない。 その多くが、狂気を感じさせるストーリーを描いてきたポール・シュレイダーらしく、この作品の主人公、ヴェトナム帰還兵のチャールズ・レイン(ウィリアム・ディヴェイン)も登場した時から狂気がにじんでいる。 7年もの間、ヴェトナムで捕虜となっていたレインが、その時の仲間(トミー・リー・ジョーンズ)とともに故郷に帰ってくる。 ブラスバンドの演奏と市長たちの讃辞の言葉。 そして、妻と大きくなった息子。 そんな彼らに出迎えられたレインは、言葉少なに挨拶し、懐かしい我が家に。 ところが妻は、浮気を告白し、息子も本当の父親より、その浮気相手のほうを慕っている様子なのだ。 どうにか生還したものの、それを喜んでいる者はいない。 だが、問題なのは、そういう哀しむべきこと、怒るべき真実を突きつけられてもレインが何も感じてないというか、何も感じてないように見えるところだ。 レインを演じるウィリアム・ディヴェインは、常に口をへの字に曲げ、笑うこともなければ怒ることもない。 まるで感情をヴェトナムに置き忘れてきたかのように無表情。 唯一、生気を感じさせるのは、そのヴェトナムの捕虜時代を思い出す時だけなのだ。 そんな彼に再び不幸が襲い掛かる。戦争の英雄として贈られた銀貨を狙い、強盗団が侵入。 妻と息子を殺し、自分の腕もズタズタにされ、義手に変えられてしまったのだ。 それでも、表情を変えない彼はしかし、復讐を誓い旅に出る。 かつての仲間を招集し、かつてのように銃を構え、強盗団のいる場所に。 その時、初めて生き生きとした表情を見せるレインと仲間-------。 当時としては、過激なジョン・フリン監督らしいバイオレンス・シーン、無表情なのに雄弁に語りかけるウィリアム・ディヴェインの存在感、そして狂気と痛みと時代と社会を感じさせるポール・シュレイダーの秀逸な脚本。 この作品は、演出・演技・物語の3本柱がきちっと揃い、その化学反応によって、今なお優れたカルト映画として、映画史に残り続けているのだと思う。
りょくう
3.5
633
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