おなかに新しい命を抱えたはる(玉井夕海)は、目に見えない何かに引き寄せられるようにして、入江の小さな島に辿りつく。その島には数人の老人たちと、ちい(松尾嘉子)という若い女性が暮らしていた。ちいの閉ざされた態度に戸惑いながらも、はるはお節介な老人たちと数日を過ごすことになる。それぞれに小さな船でここに辿りついたと言う老人たちは、毎日人型の泥人形を作ってはどこかに出荷する日々を過ごしているのだった。そんな中、はると前後して島にやってきた作一(近藤正臣)という老人が、ちいと再会を果たす。実はちいは作一の元妻で、あるショックから自ら歳を取るのを止めてしまっていたのだった。やがて作一の記憶の包容力と、はるの新しい命への希望がひとつになり、星々のめぐりがそのスピードを取り戻し、ちいの凍りついていた時間を融かし始めるのだった。