葛西杏子は三歳の時、警視庁刑事の父を目の前で殺された。犯人の記憶は全くないが父の手に残された猪・鹿・蝶の三枚の花札がその手掛りだった。そして二十年後、明治三十八年。金沢で政界の黒幕民政会の黒川の襲撃に失敗して逃走中の柊修之肋という男を、通りすがりの女博徒・猪の鹿お蝶が助けた。そのお蝶こそ、葛西杏子が成人して華麗に変身した姿だった。