昭和20年夏。戦時下の岡山県日比の海岸を、開業医・赤城風雨が走っていた。彼は父の代からの家訓である「開業医は足だ。片足折れなば片足にて走らん。両足折れなば手にて走らん。疲れても走れ。寝ても走れ。走りに走りて生涯を終らん。」を胸に、こうして病人の家を往診して回っているのだ。しかし、病人たちは殆ど無償に近い値段で診てくれる風雨に感謝しながらも、その一方でどんな患者にも肝臓炎としか診断しない風雨のことを「肝臓先生」と渾名するのだった。ある日、田舎には珍しい美少女・ソノ子が赤城医院に看護婦としてやって来る。