女性教師ヨハンナに初めての恋をした17歳の少女ヨハンネは、恋焦がれる想いや高揚を忘れないようにと、自らの体験を手記にまとめる。さらに、その気持ちを誰かと共有しようと、手記を詩人の祖母に見せたことから、事態は思いがけない展開を見せてゆく。ヨハンネが経験するのは、誰もが一度は通過する相手の一挙手一投足に対する期待や不安、過度な妄想、理不尽な嫉妬など、あまりにも無垢な初恋だった。そして、その気持ちを秘密にしておきたい、でも誰かと共有したいという矛盾した思いが、祖母や母を巻き込んでいく。ヨハンネの手記を読んだ祖母は、自らの女性としての戦いの歴史を思い出す。一方、母は“同性愛の目覚めを記したフェミニズム小説”と称して、現代的な価値観にあてはめようとする。異なる価値観を持つ3世代の3人が、初恋の手記を通じて辿る運命は……。