雪で覆われた青森の山間にある小さな町。夜明け前、しんしんと雪が降り積もり、寝静まった家々はひっそりと暗い。漁業市場で働く父親はそんな時刻に1人目覚め、家族を起こさないよう、静かに仕事に行く準備を始める。出掛ける前は、それが毎日の日課というように台所でゆっくり煙草をふかす。しかし、なぜかこの日に限って、6歳の息子がその物音で目を覚ます。父親が出て行った後、彼はクレヨンで魚の絵を描く。そして迎えた朝。結局眠ることができず、うとうとしたままの少年は、眠い目を擦りながら歯磨きをして、家族と朝食をとり、学校に出かける。だが、登校途中、彼は学校には向かわず、雪に埋もれた道を彷徨い始める。父親に、僕の書いたこの絵を届けに行こう。そう思ったのか、父親が働く市場を目指す。この日、少年にとっての新しい冒険が始まる。朧気な記憶を頼りに、手袋を落とし、眠い目を擦りながら……。
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