十九世紀の末。パリ、モンマルトルの名物カフェ《ムーラン・ルージュ》に、夜毎フレンチ・カンカンを写生する倭人の画家がいた。彼の名はアンリ・ドゥ・トゥルウズ・ロートレック(ホセ・フェラー)、名門に生れたが数代の近親結婚の弊で幼時に折った両脚の成長が止まり、成人しても四尺八吋しかなく、そのために恋人と思った女性にも棄て去られた。画才のあった彼は窮屈な家を出てモンマルトルに住み、そこの風物を画くことに生甲斐を見出した。或る夜、夜の女マリイ(コレット・マルシャン)を警官から救い、それがきっかけで彼女と同棲したが、彼女は彼から金をせびっては他の男に貢ぎ、ついには彼を侮辱して去っていった。
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