村の写真集

村の写真集
2005 · ドラマ · 日本
111分 · G
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近い将来、ダムの底に沈むことになった徳島県・花谷村。その村に、開店休業状態の古い写真店があった。店主の研一(藤竜也)は、昔気質の頑固者。妻はすでに亡くなり、次女の香夏(宮地真緒)とふたりで暮らしていた。長男の孝(海東健)は研一に反発し、東京で見習いカメラマンとして一人暮らし。長女の紀子(原田知世)もまた、数年前に家を出たまま長く消息がなかった。ある日、孝のアパートの留守番電話に残されたメッセージ、それが物語の始まりだった。消えていく村の美しさを、永遠に残したい。そう考えた村役場の野原が、孝と研一に、村のすべての家族写真を撮影し、「村の写真集」をつくることを依頼したのだ。恋人・リン(ペース・ウー)の勧めもあり、孝はしぶしぶ誘いを受ける。大自然の懐に抱かれた村を、父子は一軒一軒自らの足だけで回り、撮影をこなしていく。しかし、そこにはやはり深い溝があり、歩くふたりの影が重なることはなかった。緑濃き山間の険しい道を、黙々と歩く父。その背中を追う息子。父子の葛藤…、その中で撮影は続く。戦争で息子を失い、ひとり山に住む老婆。過疎の村で明るくたくましく働く人々。美しい山や川を生命力いっぱいに駆け回る子供たち。孝は村のさまざまな風景や人々、幼少期を共に過ごした旧友たちと出逢いながら、しだいに何かに気づき始めていた。そんなとき、研一が病に倒れる。体調が悪いことを隠して、撮影を続けていたのだ。孝は、研一が余命いくばくもないことを告げられる。臥した父に代わり、残された写真を撮る決意をする孝。しかし、どれほどシャッターを押しても、父のような生き生きとした写真はどうしても撮ることができない。落胆する孝に、研一の友人・進(大杉漣)が語りかける。「あいつは、東京に出ていったお前のことをごっつう喜んどったで。すごいやっちゃと。ほんなあいつに写真を教えたんは、この俺やと自慢しとった」。頑固な父の愛に気づき、孝は涙が止まらない。孝は最後の写真を、やはり父に撮らせようと研一を背負い、山道を一歩一歩と登り始める。

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