1974年3月のある日、ニューヨークのペンシルヴェニア駅で一人の男性の死体が発見された。所有していたパスポートからは住所が消されており、身元が判明するまでの3日間は、死体安置所に保管された。男の名はルイス・カーン、享年73歳。ソーク生物研究所、キンベル美術館、バングラデシュ国会議事堂など世界を驚嘆させる建築物を創造し、独自の哲学的な語り口でも知られる現代建築の巨匠である。だが私生活は意外なほど破天荒なものだった。