空港敷地内のボーリング測量が開始され、整地作業のブルトーザが姿を現し始めた三里塚。四年に亘る闘いは、眼に見える敵との闘い以上により困難な状況を迎えた。それは、農民の背負ってきた家や集落、人間関係の歴史を洗い直さずにはおかない。「俺も初めは、兄弟四人で反対してきたわけ、みんなも知ってると思うけど、何でも話し合えるのが本当の兄弟なわけよ。しかし今はよ、俺一人になっちゃってよ、それでも俺は、兄弟のつながりよりも、集落の人間関係の方を重く取る訳よ。」公団による親戚や知人を通じての内部からの懐柔や切り崩しは、農民達に内面的な闘いを強いていった。