レビュー
Nobnob

Nobnob

6 years ago

4.5


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第9地区

映画 ・ 2009

平均 3.6

かなり人を選ぶ作品だと思うが、自分としては最高に面白かった。 まず脚本が相当に練られていて、嫌悪感を与えるエイリアンの造形や主人公の内面外面の醜さ、弱い移民に対する社会の冷酷さや差別・対立意識など、全てのネガティブな表現が現代(10年前だが)の風刺のようで上手く煽動され、細かく説明しなくとも時代背景設定がすんなり入ってきた。また、主人公が徐々に背負っていく非情な運命を傍観しながら、自然と感情移入する自分に気付いた時、これは観客の心理変化までも計算されている、と驚嘆した。最初のドキュメンタリータッチから主人公視点へ移り替わる点など、あえて序盤は誰目線で観るべきかを曖昧にしておいて、共感できない主人公が不遇に見舞われ始めてから主眼をそこに移す、という凄い観客先導技術を何気なく使っている。 そして映像に関しても、エイリアンデザインやメカ造形などは当然ながら現実離れしているが、それが実映像とうまく融合すると、なぜかリアルさを感じてしまう。恐らく色彩や反射などを実在の物質に似せることで表現しているのだと思うが、これが素晴らしい効果を生みだし、あり得ないシーンも感情移入出来てしまう。人間やエイリアンのダメージ表現なども淡々とリアルに表現しているので、苦手な人はキツいかもしれないが、これ無しではこの映画の良さが成り立たなかっただろう。 この映画でニール・ブロムカンプ監督のファンになり、彼の映画と短編動画を全て見ているが、一貫して奇妙なリアルSFを造り続けているので、この映画にハマったのであれば他もお勧めです。