旅路 おふくろさんより

旅路 おふくろさんより
1971 · ドラマ · 日本
86分
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慎吾は、注文のケーキを作りながら幼い日に去った母のことを思っていた。その夜、慎吾のアパートに、兄の尭が愛人の亜希を連れて訪れた。今のヤクザな生活から足を洗い、母を捜すためにブラジルに行こうというのだ。しかし、三百万の穴をあけた尭を見逃す程、組織は甘くはなかった。危険を察した二人は、清水での再会を告げ逃亡した。数日後、二人は清水港のはずれにあるさびれたバー「かもめ」に足を踏み入れた。ママの絹枝は、海を忘れられない元船長の相手をしているところだったが、入ってくるや、苦痛を訴えて倒れた亜希が妊娠していることを知った。一方、遠足帰りの孤児を乗せたバスに便乗した慎吾は、若い保母洋子の清らかさに魅かれた。清水港に着いた慎吾は、船長の家に厄介になった。しかも、岸の家で、一人娘の洋子に再会することができたのだ。二日後、船長は死に、洋子と絹枝の安らぎを無残に打ち砕いた。絹枝は酔い呆れ、荒れた。尭はなぐさめの言葉もないまま、自分を捨てた憎い母のことを語った。開き入っていた絹枝は驚ろいた。十数年前、夫の情事を許せず、家を捨てた自分の過去に思い当る節があるからだった。亜希が二階で見つけた一枚の写真がその事実を証明していた。思わぬ邂逅に尭は呆然とした。混乱した頭で港をさすらう尭の脇腹に、冷たい銃口が押しあてられた。男に三百万の返済を迫られた尭は、絹枝に金を揃えてくれるよう電話で依頼した。全てを悟った絹枝は、わが子のために店を売り、指定の場所に金を届けたが、尭は撃たれた。病院で意識を回復した尭と絹枝の間に和解の言葉は必要なかった。だが、すでに慎悟の乗った船が、ブラジルに向って岸壁を離れようとしていた。

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