養老院「天神荘」には10人の老人たちが住んでいる。彼らのもっぱらの関心事は、呆けの特効薬DEM30である。この薬はアメリカで開発され、日本で2002年にならないと売り出されないという代物だ。だが、秋田でビルをいくつも持っている人が入手し、50万円を払って特別会員になった者に分けるという。年金や若いときの蓄えで暮らしているホームの住人には、高嶺の花。そんな中、中園老人は妻のリヨが重度の痴呆症のため、どうしても手に入れたいと、近くに住む義理の息子の徳二や孫の渉に相談する。