東日本大震災後、宮城県名取市で被災ピアノと出会った坂本は、自然の猛威によって水に溺れたピアノの音を聞き“痛々しくてその鍵盤に触れるのも辛かった”と語っていた。だが、今はその壊れたピアノの音色が心地良く感じるという。時と共にその被災ピアノの“自然の調律”の音は、サンプリングを通じて坂本の作曲プロセスの一部となり、新たな表現へと生まれ変わった。坂本龍一の最終楽章の始まりが、スクリーン上で奏でられる。