上州佐野の絹商人、佐野次郎左衛門(中村勘三郎)と下男の治六(中村勘九郎)は、江戸で商いを済ませた帰り道、話の種にと、桜も美しい吉原を訪れる。初めて見る華やかな吉原の風情に驚き、念願の花魁道中も見物して、いよいよ帰ろうとした所で吉原一の花魁、八ツ橋(坂東玉三郎)の道中と遭遇。次郎左衛門は、この世のものとは思えないほど美しい八ツ橋に魂を奪われてしまう。それから半年。あばた顔の田舎者ながら人柄も気前も良い次郎左衛門は、江戸に来る度に八ツ橋のもとへ通い、遂には身請け話も出始める。