アリシアはナラトロジー=物語論の専門家。孤独を愛し、空想の世界に生きていた。講演先のイスタンブールで美しいガラスの小瓶をお土産に買ったが、ホテルの部屋でそのフタを開けた途端、中から突然巨大な魔人〈ジン〉が現れた。魔人はアリシアに、瓶から出してくれたお礼に「3つの願い」を叶えようと申し出る。そうすれば魔人も呪いが解け、自由の身になれるのだ。だがアリシアはその誘いに疑念を抱く。願い事の物語にハッピーエンドがないことを、物語の専門家であるアリシアは知っていたからだ。魔人はその考えを変えさせようと、3000年に及ぶ自身の物語を語り始める。時空を超え、魔人が目にしてきた奇想天外な出来事の数々を追体験してきたアリシアは、最後に魔人も、さらに自らをも驚かせることになる、ある願い事をする……。