美しくも退屈な山間の町で、小坂繭(原田知世)は夫の赤字経営の食堂を切り盛りし、愛息は進学で遠く離れてしまい、長患いをする姑・綾(八千草薫)の看病に追われ、ただの「おばさん」でしかない自分の生き方に息苦しい孤独と静かな絶望を抱えていた。そんな中、東京からやってきた作曲家、秋風蒼太(谷原章介)と講堂に置かれたピアノを通して知り合い、恋に落ちる。繭は久しぶりに自分の心が息を吹き返す気がした。このまま、なにもかも捨てて抱きとめてくれる人の胸へと走り出してしまいたい。繭と蒼太の秘密の恋の行方はーー。