17歳の少年ユベール・ミネリ(グザヴィエ・ドラン)はカナダ・ケベック州の何の変哲もない町でごく普通に暮らしていたが、ここのところ自分の母親が疎ましく思えてどうしようもなかった。洋服やインテリアを選ぶセンスのなさ、口元には食べカスをつけ、口を開けば小言ばかりと、母親の一挙手一投足が癪に触っていた。母親を受け入れ難く思う一方、理由もなく苛立ってしまう自分にも嫌気がさしていた。そして母親のことを、愛情表現が素直にできず、ユベールのことをコントロールしたがるくせにそれについて罪悪感を抱くような自己矛盾があると分析する。かつては大好きだった母親への憎しみは日増しに膨れていく中、ユベールは夕暮れのセント・ローレンス川沿いの土手に腰をかける母親を偶然見かける。その光景は無垢だった幼い頃に見た情景と重なり、安心感を覚える。そんな幼少期への郷愁と折り合いをつけるべく、ユベールはある行動に出る……。