まだ独軍に占領されない仏領モロッコの都カサブランカは、暴虐なナチスの手を脱れて、リスボンを経由し、アメリカへ行くために、1度は通過しなければならぬ寄港地である。この町にアメリカ人リークが経営しているナイト・クラブは、それら亡命者たちの溜り場だった。独軍の将校シュトラッサアは、ドイツ側の飛脚を殺して旅券を奪った犯人を追って到着する。旅券を盗んだウガルテという男は、リークに旅券の保管を頼む。リークはこれをピアノの中へ隠す。リークと奇妙な友情関係にあるフランス側の警察署長ルノオは、シュトラッサの命をうけてウガルテを逮捕した。そのあとへ、反ナチ運動の首領ヴィクトル・ラスロと妻のイルザ・ラントが現れる。2人はウガルテの旅券を当てにしているのだが、イルザは、この店の経営者がリークであると知って驚く。憂うつなリークは、店を閉めたあと、盃を傾けながら、彼女とのことを回想する。独軍侵入直前のパリで、彼はイルザと熱烈な恋に身を焦していた。が、いよいよ独軍が侵入して来たとき、2人は一緒に脱れることを約束した。