中堅企業で働く二見(美保純)は高校を卒業して今の会社に入り、間もなく40年。定年を迎えようとする彼女は、笑顔で日々の仕事を続けるうち、精神的に圧迫されていた。そんなある日、社用である神社へ向かった二見は、見たこともない動物と出会う。思わずその後を追いかけるが、途中、足を踏み外して穴に転落。目を開けると、そこには先ほどの動物たちが群れを成していた。なんとそれは、河童だった。医者と思われるチャック(浅野美保)に加え、漁師のバッグ(ベンガル)や会社社長のゲエル(稲見雅文)という河童たちまでもが、二見の面会に訪れる。哲学者のマッグ(咲良)からは、河童について教わり、次第に河童に慣れていく二見。気さくに声をかけてくる詩人のトック(綾田俊樹)と交流を持つようになり、彼の仲間が集う超人倶楽部の面々や音楽家のクラバック(和泉元彌)を紹介され、バンド“えちごや”を率いるクラバックの演奏会を見に行くことに。突拍子もなく見える河童の生活も、実のところ人間の生活に共通する部分が多かった。やがて、河童の世界にも自分の居場所が無いような空虚感に追い込まれた二見は、人間界へ帰ろうとするが……。