幼いころを振り返るアモス・オズ(ヨナタン・シライ)。1945年、英国統治下にあったエルサレムで、幼少期のアモス(アミール・テスラー)は父アリー(ギラッド・カハナ)と母ファニア(ナタリー・ポートマン)と共に暮らしていた。彼らはその時代の多くのユダヤ人と同様に、迫害から逃れるためにヨーロッパから移住してきたのだ。希望の光を求めて彷徨ってきた一家だったが、戦争の恐怖と、そのあとに訪れた日々の暮らしの退屈さは、ファニアの心に暗い影を落としていた。結婚生活への不満を抱え、息苦しく鬱積を募らせる日常のなか、彼女は持ち前の想像力を働かせて、砂漠をまたぐ冒険物語を創作してはアモスに聞かせるのだった。母親から物語を聞かされること、詩を詠んでもらうこと、言葉や言語を教えてもらったことは、のちのアモスの人生に大きな影響を与えることになる……。