とある海岸。カメラマンのイシダ(中山一也)はヌードモデルの撮影を行っていた。そこへ、どこからともなく金髪の謎の老紳士オオミヤ(内田裕也)とその妻サダ(杉本彩)が現れる。その姿を目にしたイシダの視線は、途端にサダに釘付けになる。初めて見たサダの狂おしくも怪しい美しさに心奪われるイシダ。「やっと逢えたのね、吉蔵さん…」。サダは不可解な言葉を発して、燃えるような緋色の長襦袢にしたたる漆黒の洗い髪で恨みがましく彼を見つめる。オオミヤは、彼にサダの撮影を依頼。それに応じてカメラのシャッターを切り始めるイシダ。しかし、彼女の視線に射すくめられた彼は、やがて撮影のことを忘れ、彼女の開いた下肢の間に倒れこんでいく。愛の情念を迸らせるように激しく貪りあうサダとイシダ。それはやがて時空を越え、二二六事件で世間が騒然としている暗い世相の東京へと向かう……。