紀元689年、唐王朝の時代。皇宮のある洛陽の都では、天にも届く巨大な仏塔“通天仏”の建立が着々と進んでいた。弥勒菩薩像をかたどった通天仏は、則天武后(カリーナ・ラウ)の顔を模しており、それが完成する日、彼女は中国史上初の女帝の座に就く。つまり、通天仏は最高権力者の象徴だった。しかし、そんな記念すべき日を前に、武后の権威を脅かす不可解な殺人事件が頻発していた。それは、突然、人体が炎を発し、真っ黒な灰と骸骨だけを残して焼き尽くされるというものだった。犠牲者がすべて政権に関わる重要人物であることから、犯人が武后の権威に挑む反逆者であることは明らかであった。その謎を解明するために牢獄から呼び戻されたのは、判事ディー・レンチェ(アンディ・ラウ)。類稀な知性の持ち主で、武術の達人でもあるディーは、8年前、皇帝の死を機に権力を握った武后を非難して投獄されていた。