ペリリュー -楽園のゲルニカ-

太平洋戦争末期の昭和19年、南国の美しい島・ペリリュー島。そこに、21歳の日本兵士・田丸均（声：板垣李光人）はいた。漫画家志望の田丸は、その才能を買われ、特別な任務を命じられる。それは、亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す“功績係”という仕事だった。9月15日、米軍によるペリリュー島攻撃が始まる。襲いかかるのは、4万人以上の米軍の精鋭たち。対する日本軍は1万人。繰り返される砲爆撃に鳴りやまない銃声、脳裏にこびりついて離れない兵士たちの悲痛な叫び。隣にいた仲間が一瞬で亡くなり、いつ死ぬかわからない極限状況の中、耐えがたい飢えや渇き、伝染病にも襲われる。次第に追い詰められていく日本軍は、玉砕すらも禁じられ、苦し紛れの時間稼ぎで満身創痍のまま、持久戦を強いられることに……。そんななか、田丸は仲間の死を、時に嘘を交えて美談に仕立てる。正しいこと、それが何か分からないまま……。そんな彼の支えとなったのは、同期ながら頼れる上等兵・吉敷佳助（声：中村倫也）だった。2人は共に励まし合い、苦悩を分かち合いながら、特別な絆を育んでいく。一人一人にそれぞれの生活があり、家族がいた。誰一人、死にたくなどなかった。ただ、愛する者の元へ帰りたかった。最後まで生き残った日本兵は、わずか34人。過酷で残酷な世界で懸命に生きようとした田丸と吉敷。若き兵士2人が狂気の戦場で目にしたものとは……。