人間の砂漠

1990
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基本情報

人間の砂漠
1990
長い灰色の壁をつたって女子刑務所に今日も一台の護送車が入ってきた。島村朋子・28才。子殺しで3年の刑を受けたのだった。保安課長緒方恭子の説明にも、何かかたくなな態度で押し黙ったままだった。やがて朋子は赤ん坊を抱いた慈母観音のある廊下を通り、舎房へと移された。朋子と共にここに送られてきた片山芳江は、これが七度目の入所で“塀の中の方が外より暖かい”という言葉を聞くに至って、やりきれない気持ちでいっぱいだった。二週間の独居房での生活を経て、朋子は数人が同じ部屋で寝る雑居房に移ってきた。その夜、朋子は一睡もしなかったが、それは慣れない暮らしが始まったことの緊張ではなく、彼女の重苦しい過去のためだった。朋子が入所して間もなく、刑務所に松枝という神父から彼女のことをしたためた手紙が届く。そこには朋子の、神を信じる前に人間を信じたいという切望が述べられてあった。やがて緒方は松枝の訪問を受け、朋子の苦しみと哀しみに塗りつぶされた過去を知り刑務所が単なる更生のための施設であってはならないことを痛感するのだった。お互いの犯した罪を話し合うことを禁じていても、受刑者たちはそれぞれの心の痛みを分かち合っていた。その反面、新米者いじめに耐えきれず暴行事件も起き、朋子もその一人となった。しかし緒方の理解と弘中恵子との交流が次第に朋子の心を開き、朋子の子殺しとは別の、もうひとつの真実が明らかになってゆくのだった。それは、唯一の心のよりどころである、かつて信じていた人との間に生まれた、一度も会っていない娘であり、自分を生んでくれた母親なのだった。そして、松枝はその朋子の娘夏子と母絹代を朋子に引き会わせるのだった。涙ながらに娘と母親に詫びる朋子の姿を目の前にした緒方は確かな充実感と共に、改めて刑務官という仕事の難しさを感じるのであった。

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