鎌田家にはある珍妙な事件が起きていた。二週間前、夫婦喧嘩が原因でママが姿を消してしまったのだ。パパと娘の志保には行き先の見当もつかなかったが、13歳の浩次朗だけはママの居所を知っていた。それは、家の中のとある場所。バレないように、浩次朗はママが隠れるのを手助けしていたのだ。パパは仕事、志保と浩次朗は学校、日中だけがママの唯一くつろげる時間。浩次朗とママだけに分かる合図。そんな生活にも慣れてきた頃、日中帰って来ないはずのパパが帰ってきてしまう。絶体絶命、家族を巻き込んだ夫婦喧嘩はどこまで続くのか……。